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Posted by ブクログ
政治不信の高まりは、代表民主制への不信でもある。これを補完する方法の一つとしてのくじ引き民主主義。フランスの黄色いベスト運動のような選挙によらない政治参加が増えている国もあるが、日本に関しては投票率もデモ参加も双方が減っている。だからこそ、くじ引き民主主義の手法がより必要とされているかもしれない。
代表民主制の時間的限界は、選挙という差し迫ったゴールをめざして、誰もが短期的に達成できるテーマしか見なくなり、環境問題など長期的な課題に取り組む余裕がなくなること。空間的限界は、その非対称性。国会議員は国民の代表だが、その属性は国民の属性の「縮図」にはなっていない。くじ引き議員ならこの限界を補完できる。選挙で選ばれる必要がないから、目先の分かりやすい公約をかかげる必要はないし、一定の母集団から一定の方法でくじ引きすれば、属性の対称性を保つこともできる。
アイスランドではすでにリーマンショック後の憲法改正について、結果的に否決されたもののこの方法を採用。市民会議や市民パネル、ドイツの計画細胞など、すでにくじ引きの要素を生かしたさまざまな民主主義的手法が取り入れられている。特に、地方自治体レベルの問題についての議論では取り入れやすい。投票による決定は、結果的に多数決だから、少数派の不満が必ず残る。くじ引きの偶然性を意思決定の手段として採用することで、「なぜ自分だけが」という理不尽さを多少解消できる。たまたま、という感覚を取り戻すことで他人(自分と違う意見)への想像力を持つことができる。
くじ引き民主主義の問題点として理解できたのは、話し合わねばならない課題が明確になっている場合に限られるかもしれないこと。広く市民の同意や意見が必要になる場合だ。皆に関わる問題として認識されている必要がある。換言すれば、どのような目的を達成するのかを決める場合には向いていない。その目的に反対するような意見を排除してしまう危険があるからだ。つまり、民主主義での合意を目指す、という機能しか果たせない。
導入できるケースは限られるかもしれないが、試してみる価値はあるかも、というのが率直な感想。
Posted by ブクログ
「くじ引き」で選ばれた人々が、話し合い、公的な意思決定を行う。近年、世界で広がりつつある「くじ引き民主主義」の動き、考え方を解説する書籍。
主権者が代表者たる政治家を選挙で選ぶ民主主義のことを「代表制民主主義」という。
代表制民主主義において政治への信頼は不可欠な要素だが、21世紀に入り、「議会を信頼しない」とする各国市民の割合は増加傾向にある。
今日、政治家や政党は信頼されていない。
しかしこれは、代表制民主主義を問題視するものであり、民主主義の理念そのものを否定するものではない。ほとんどの先進民主主義国において、「民主主義が大事だ」とする意見は多数を占めている。
「くじ引き民主主義」とは、地域の市民や住民、国民から無作為抽出で選ばれた代議員や委員が、特定の課題や目的について話し合い、その上で意思決定をする仕組みのことである。
2020年のOECD(経済協力開発機構)の報告書によると、くじ引き民主主義は、2010年頃から急速に広がっている。
くじ引き民主主義は、政治を刷新すべきだという人々の意識が高まって生じた点で、ポピュリズムと同じ発生源を持つ。
しかし、ポピュリズム政治がアウトサイダー的な政治家によるトップダウンでの刷新を目指す運動であるのに対し、くじ引き民主主義はボトムアップ的な民意形成で政治の刷新を試みるものである。
個人の能力に応じてモノや地位が与えられるべき、という考え方は、新自由主義などと相性がよい。しかし、人の能力は、資質だけでなく、受け継いだ様々な資本に大きく左右される。「機会の平等」さえもが不均等な現代において、この平等を人智でもって取り戻すのが、くじ引きの役割である。
Posted by ブクログ
社会の分断がトランプを生んだ
くじ引き民主主義ロトクラシー
第三極化 デジタル・レーニン主義
P23 議会を信頼してないとする市民の割合
P.25 日本のどの機関を信頼しているか
→代表になってない作動しない代表制民主主義
政治不信
・市民の批判意識の高まり
・政治のパフォーマンスの悪さ
・社会関係資本がなくなった社会への変化
アメリカの分断←多様性と党の戦略
しかしヨーロッパでも分極化・部族化
限界
①時間的
頻繁な選挙という短いサイクル→政策の射程が短期的になり、長期的な政策に取り組めない
②空間的
グローバル化という大きな空間での問題と小さな空間でおこる個人の実存的な問題
③非対称性
P.44 議員と市民の所属の非対称性
情報の非対称性 選挙時と当選後
選挙によらない政治参加
インターネットを活用した政治運動
M15@マドリード オキュパイ運動@ニューヨーク BLM運動@米 黄色いベスト運動@仏 平和安全法制反対デモ
代表制が機能するためには
・共同体を有効に統治
・人々が代表されていると感じている
・国民が代表制を機能させている
代表制の幻滅、民主主義への期待
日本国憲法の権威→権力→福祉のサイクルのフィクション化
ドイツ 計画細胞
アイスランド アンティルによる憲法会議 憲法を決めるためのマクロレベルのくじ引き
アイルランド 憲法改正
フランス 気候市民会議
ミニ・パブリックス
くじ引き民主主義
・政策について熟議による市民による決議・市民への諮問
・政策についての市民の意見表明
・特定の政策・法律についての市民の意見表明
・常設の諮問評議会
必要条件
・統計的代表性
・情報提供
・市民による討議
・公開性と匿名性
・目的
⇔熟議民主主義、参加民主主義
P.137 民主主義のカルテット
ベックの「再帰的近代化」
P.166 柄谷
設計
①アジェンダの設定(目的)
②くじ引き(抽出)
③情報の提供(input)
④熟議(検討)
⑤投票・意見提出(output)
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