履き忘れたもう片方の靴

大石圭

「ヒカルは売春する少女たちよりさらに強烈な存在だ。なぜなら彼は、犯される者であると同時に、ペニスを持った犯す者でもあるからだ。」（佐藤亜有子） 華やかな夜の街で、金持ちの男女に求められるまま、体を売るヒカル。大石圭、衝撃のデビュー作！

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 河出書房新社
• 掲載誌・レーベル: 河出文庫
• ページ数: 192ページ
• 電子版発売日: 2011年01月31日
• コンテンツ形式: XMDF
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★★]

大石圭のデビュー作です。絶版になってたのをやっと手に入れました！！（嬉）
いやぁすごいね、圧倒的な孤独と言うか、孤独すらも感じさせないほどの無意思と言うか。
淡々とした文章が圧倒的に迫ってきます。
内容は結構エロティックなんだけどね（笑）

[ブクログ · ★★★☆☆]

あらゆる感情を淡々と語ることに徹した作品。舞台の中で繰り広げられている光景は奇怪で恐ろしい物なのだが、当たり前のように著述された文章に恐怖や悲哀といった感覚を麻痺させられる。登場人物の会話文を鍵括弧を使用しないで綴ることも、この作品から”人間味”や”暖かさ”を殺ぐ効果を持っている。
主人公の視点で描かれているものの、彼の内面を覗かせる文章は殆ど無い。それは、単なる執筆上の手法ではなく、彼が内面を持っていないために必然としてそうなったものなのであろう。彼は自身を見失っていて、また、物語が進むにつれて完全に自身を失っていく。それも淡々と。

痛みも悲しみも恐怖も欲も暖かさも冷たさも。あらゆる人間としての感情を一時だけ失わせてくれるなんとも不思議な物語だった。

[ブクログ · ★★★☆☆]

自分の欲望を持たない人間が自分の中に住んでるのかもしれない。
それでも、それはとても切ない事で、
欲望を表に出す人間をとても羨ましく思う。

[ブクログ · ★★★☆☆]

（2008-9）大石圭氏のデビュー作、絶版だから読むチャンスはないと思っていたけれど、
チャンス到来（笑
ホラーっと思い込んでいたので、かなりひいた〜。
でも、怖いっと思った。
主人公があまりにも無意思というか、こういう人間は、何するかわかんないよなぁ的な怖さ。