無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
三浦瑠麗氏が、男と女の溝について述べたエッセイ集で、雑誌に連載されたものをまとめたもの。愛や恋愛やについてを中心に考えを述べている。難解な部分もあるが、三浦先生の想いや考え方が理解できた。『孤独の意味も、女であることの味わいも』を読んだ時も感じたが、三浦氏には自分の全てを曝け出せる強さがあり、さまざまな苦難を乗り越えながらも前に進む行動力はすごいと思う。動画も拝見しているが、活躍を期待したい。
「この1年は、暇ができたために落語によく通った。人間のダメさ加減を、これでもかと詰め込んだ落語に救われていたのかもしれない」p22
「男が活躍する場を設けなければ、彼らは現代の家庭に居場所がない。都会の狭い空間にただ一緒にいる、というだけでは、資本主義的な消費しかすることがなく、共有するプロジェクトが少なすぎる。ずっとサラリーマンとして忙しく働いていた人が定年を迎えた後の生活の難しさは、なおさらだと思う」p26
「昔は、男も女もただ生きていくだけで日が明け暮れ、とても人生に惑う余裕などなかったのではなかろうか。他所様の人生がどうなっているかなど、せいぜい向こう隣り何軒分しかわからなかったろうし、SNSもなく、他人と比べる暇さえ与えられなかった」p27
「ケア労働というのはもともと労働者にとって報酬が高い職種ではない。大変な仕事でなり手が限られていることもあり、適当な人は得難い。仕事の質を問えばなおさらのこと、細かいところまでよく行き届く人、大切な人や物を任せられる人、心根の優しい人は値千金の人材である」p38
「人生に5年、10年がむしゃらに働く時期があってもよいが、ある意味ではそれが落ち着いてよかったとさえ思う。娘と時間を過ごしながら、少し早めに人生の第三の時期について考えることができたからである」p41
「自らの感覚を語る上では適切な「言葉」を見出す必要がある。伝えるのに適した正確な表現。それに先立ち、自らの感じとったものにきちりと見出され、他者と共有することも可能になる」p52
「「男と女は最終的に分かり合えないが、それは性によって人生における経験が異なるからであり、過去の経験や自分の感情で表現し、共有することは無駄であるとは言えない」。この一文だけ読んでわかったと言える人は、すでに幾度かにわたってこうしたテーマを扱う著者に触れたり、考えたりしたことがある人だろう」p54
「そこへ正義が入ってくるとどうなるか。本来、べき論と表現の多様性とは相性が悪い。べき論を極限まで推し進めれば、「全ての人が、誤解が何もないように、正しい話法でもって、この一つの正しい真実を発話すべき」ということになるから、言葉は痩せていく」p55
「声高な反対者もいるのに、どうして多様性が失われるのかというと、正義というのは文学とは違って「自ずと明らか」なものであり、すなわち「万人が分からなければならない」ものだと考えられがちだからだ。すると、大多数の人は自分がすぐに理解できないもの、予め知らされていないもの、定式表現からの逸脱は、間違っているに違いないと思い込む」p57
「正義の応酬が続くと、自らとは異なる感性の広がり、知覚の深度を他者が持っていることを許容し得なくなる。近年とみに進んだ現象だ。そうやって、物事の感じ方の複雑さは排除されていくのである」p57
「(コンゴ内戦の性暴力)ノーベル平和賞を受賞した医師、デニ・ムクウェゲさんが、加害者にきちんと裁きを下すことは、被害者にとって自尊感情を取り戻す重要なプロセスに位置付けられると述べておられた。卓見だと思う。傷ついているのは肉体だけではないからである」p103
「彼女たちは私的な暴力の犠牲者ではない。性被害が軽視され、またそれにまつわるスティグマが存在する人間社会において、ムクウェゲ医師の述べているように、彼女たちを内戦の犠牲者としてカウントすべきだという観点は見落としてはならない」p103
「恋愛結婚が危機に瀕している理由は、出会いの場が少ないとかキャリアが忙しいというだけではなくて、そもそも互いに対等な個人が自尊感情を維持できるような関係性の構築が難しいというところに原因を求めることができるだろう」p134
「ひとえに風の前の塵に同じであるという言葉が、教訓ではなく段々と安らぎのようなものとして捉えられるようになっていく。それが歳を取るということなのかもしれない」p186
「淵に立ってなお目を開けていることこそ、真に世界と繋がりを持つということなのである」p204
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
ビジネス・実用
小説・文芸
小説・文芸