あらすじ
初体験。それはある日突然訪れる。相手も、場所も、切っ掛けも人それぞれ。そんな幾つかの初体験を綴った短編集。何よりも大切なのは、二人の心が通い合うことではないだろうか……連作短編集『それぞれの初体験』。
第一話 『姉と僕との微妙な関係』……両親の突然の海外赴任で二人きりになってしまった高校生の姉弟。二人暮らしの中で姉弟の距離が縮まり、一時帰国の母親を迎えに行った成田でそれは起きてしまった。
感情タグBEST3
読後感がいい
この作者の特徴だが、読み終わった後に残る暖かい余韻がいい。
この作品はシリーズの第一話だが、一番良かった。読み始めはなかなか濡れ場にならず思わず飛ばし読みしようかとやきもきさせるが、ようやく後半になって出て来る姉弟の絡みは待たされただけの価値があった。
余談だが、引っ張られる快感というのがすぐには理解できず、別のやり方で試してしまった(笑)
奇妙だが、ありえる話
美人で成績優秀な姉を持ってしまった、平凡な弟の話。弟くんの一人称で語られた、姉との奇妙な関係。その語り方が、実に弟心を掴んでいて、何度も共感してしまった。同時に姉の、外堀を着実と埋めていくような堅実さが、受身であるように見せながら積極的な態度には、何度も、まさしくこれこそ姉だよと頷かされてしまった。危険すぎる状況に陥ってしまうのですが、感情を出来るだけ抑えた客観的な語り方となっているため、現実とのバランスが保たれていた。それゆえに、読みすすめやすかった。ただ少し、文量が少なかった物足りなさがあります。