第1章 ネット企業を考える
第2章 会社は誰のものか
第3章 「会社は化け物」と心得よ
第4章 企業のガバナンスを考える
第5章 新しい資本主義が始まっている
*書き口柔らかくて読みやすかった。
*以下、読書メモ。引用とメモが混在。
ならばネット企業の恋愛対象になるのは、具体的にどの分野なのでしょうか?ずばり、「規模の利益」で他社を排除できる「インフラ産業」だと思います。金融、通信、メディア、生活インフラ。
インフラ産業は長い間規制の下にあり、非効率です。世界との激しい競争が待ち受ける製造業や、気難しい顧客を扱わなければいけないサービス業と違い、資本と技術のロジックがそのままあてはまる。ネット企業経営者の資質に向いた分野です。これまで政治家や官僚に任せてきた規制産業を彼らの「切り取り御免」にすれば、私たちもその恩恵を蒙ることができるかも知れません。彼らが時に「ヒーロー」となったり「悪役」となったりする大きな理由は、そこにもあるのです。
西久保社長のスカイマークエアラインズに対する数十億円の投資は、一度飛行機が落ちたら全てが無に帰するでしょう。しかし、そうしたリスクを背負っているからこそ、気概が生まれる。経営者としての能力を世に示したいという、激しい卓越への欲望です。失敗のリスクテイクが出来る能力が、彼らを尋常ならざる存在にしていると思います。
経済学者J.A.シュンペーターや経営学者P.F.ドラッカーらは、このリスクテイク・革新能力を、現代の経営者の最大の資質と評価しました。彼らは多くの株主が想像もできないイノベーションや合理的な組織化能力を持ち、大胆なリスクにもチャレンジする尊厳とエネルギーある個人です。
ここ10年 株主のもの
金融のグローバル化
上場 going public
三菱商事 04年3月期改革
国営
明治初期 第二次世界大戦前後
有限=認可、規制
占有の願い
株主
アメリカ 結社 無限に広大な領土と資源に打って出るための、もっとも合理的・発展的な組織形態
参入退出の自由 禁欲的プロテスタントの精神
1799年 マサチューセッツ水道事業会社法 有限責任制度
A.A.バーリー G.C.ミーンズ 所有と経営の分離 アルフレッド・チャンドラー 『スケールアンドスコープ』企業が拡大する2つの理由 規模の経済性 範囲の経済性
+ネットワーキングの経済性 情報セキュリティ大学院大学副学長 林紘一郎 「ある機能を自分で持ち、それと他人(パブリック)の資源の両方を使えると利益が生じる」
アウトソーシング機能の充実
スモール・イズ・ビューティフル
買収
時間を買う
外部性の獲得
従業員
家族 ファミリー
家族的経営 トヨタ「農業もする武士」日ごろ(工場)は地味に、戦い(マーケティング)は派手に。これが日本の製造業ブランドの血筋です。
藩、商家 リーダーは調整役
同族経営
徳川の平和 日ごろは鬱憤をため、いつしか激情が爆発するのが日本人 赤穂浪士四十七士
主君押し込め
戦前 財閥企業サラリーマンの平均転職回数3回
戦争による「イエ」化
家族主義経営
GHQ産業政策
戦犯追放 従業員が社長になる夢を持てる=現場に尽くす
会社の占有
経営者のスタンス
C.N.パーキンソン
劣嫉症 世界中で見られる自分より無能な者を部下に選ぶ組織の病理、すなわち目標低下、独善、最後には無頓着にいたる病
タイプ
①免許人②近代経営者③組合委員長
オクノ総研 オクノジュン
企業の支払いの優先順位
企業は興行主からお金を集めた劇団
ステイクホルダーの序列
株主の利益最大化という命題は、全てのステイクホルダーを満足させてはじめて成立する
株主の利益を大事にする姿勢は、企業をもっとも健全に保つ仕組みなのです。
情報公開がさかんに言われていますが、企業情報が完全にオープンになることは論理的にありえません。もし情報がオープンなら、その企業は単なる人材、資源、金融の取引市場と何ら違わないことになってしまうからです。企業の中と外では常に情報の格差があるべきだし、そうでなければ企業組織が存続する理由がありません。
アダム・スミスはロンドンの商品取引市場を見て、オープンな市場において利益を追求しようとすればするほど、悪徳な商人であってもそれほど悪の限りをつくすことができなくなる、という逆説を発見しました。なぜなら、悪い行ないはすぐ市場全体に知られ、市場によって罰せられてしまうからです。
情報の秘匿は利益の根幹
南海バブル事件 1711年
フランス王立銀行の破綻
エンロン事件
モラルハザード
ストックオプション経営のリスク、決算粉飾の可能性(シスコシステム、1998年)
信任
前提として、忠実義務、善管注意義務
ガバナンス
チェックシステム
メインバンクから株主へ
株主によるガバナンスが軽視された企業群
規制産業 国
経団連○○部
世襲会社 ダイエー コクド ニッポン放送
平時のガバナンス
戦時のガバナンス 社外取締役 企業買収
日本の証券取引等監視委員会 250人に満たない SECより1ケタ少ない
経営には常に野蛮な要素が必要です。なぜか。この世に存在する悪に対しては、善だけでは対抗できないからです。非武装中立の精神でテポドンに立ち向かっても、つけ込まれるだけです。
当面の日本企業の課題は、「株主によるガバナンス」の強化
民間エコノミスト 高橋亀吉
「日本が先進国に追いつくと、日本にとって新しい問題は先進国にとっても新しい問題となって、同じスタート台に立つことになる。(中略)日本はそこまで進んだが、政治家、官庁、実業家は今までの地図がないと歩けない人ばかり」
テーゼ 株主主権主義
アンチテーゼ 社会的責任 志 ブランド
ジンテーゼ
これからの会社の特徴
①持ち株会社制度が進む 事業流動性向上
②人的資本の見直し アルビン・トフラー
21世紀の富は、データ、アイデア、シンボル、象徴体系の瞬間的な伝達と普及なくしては立ち行かない。これをスーパーシンボリックエコノミーと呼ぼう。それは大量生産から注文生産へ、一枚岩企業からネットワーク組織へ、一国だけの操業から世界的な操業へと、一気に私たちを運んでいこうとしている。スーパーシンボリックエコノミーで生き残るのは、個人主義者、過激主義者、負けじ魂の持ち主、さらには変人であり、いわば力を掴むためにはどんな海岸への上陸をも敢行するビジネス戦士たちである
アメリカの経済学者 ゲーリー・ベッカー 「先進国の例について見ると、資本の75%は人である」「労働生産性への知的資本の貢献はインターネットが普及した95年以降に著しく」「21世紀は企業や社会の知的財産を担う人的資本の重要性がさらに高まるだろう」
大量生産の伝道師ヘンリー・フォードでさえ、「(貴方が)工場を乗っ取っても、建物類を焼き尽くしても、私のために働いている人々さえ残してくれたら工場を直ぐに再開できる」
世の中には3種類のビジネス
①インフラ・インテンシブ
多額の設備投資 上場が合理的
100%持ち株会社の支配下であってもおかしくない。経営者、従業員の持ち株比率は低くてかまわない。
②レイバー・インテンシブ
一般的な社員の勤勉な労働力・サービス能力に依存したビジネス。デパートや商社などが典型。資金需要は大きくないものの、上場による知名度アップは魅力的
従業員はある程度以上自社株を持っていた方がいい。5-20%程度
③タレント・インテンシブ
特殊な人材の希少的な才能に依存。資金需要は小さく、上場によって「株主のために働く」窮屈さも好まれない
コア社員が33%強以上
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電通上場の理由 時事通信 共同通信 リーク
③社会的責任投資が論議される
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SRI ラルフ・ネーダー GM告発
反SRI ミルトン・フリードマン「企業効率の追求こそがガバナンスの本質である。企業は倫理を考える必要すらない」シカゴ学派のやや過激な自由主義者
日本 社会的責任投資 裕福な個人によるものが定着していない
④ブランドの価値が高まる
ドッグイヤー 犬の1年が人間の7年分に相当するように、ネット企業は普通の企業の7倍の速度で経営を考えなければならないという喩え
ブランドは、長短に限らず企業を支える最良の資源です。それは人々の記憶にとどまり、世代を超えて継承されていくからです。
ブランドとはなにか。それは「商品やサービスを経由した消費者と企業(経営者、従業員)との絆」だと思います。
消費者と企業は、商品の所有権の移転に関する契約を結びます。 関係…契約とともに信任
⑤大企業が産業政策を代行する
マイクロソフト 2004年クリスマス商戦 320億ドルの特別配当=有効需要の創出
⑥先祖がえりの可能性
古い資本主義に後戻り 賎民資本主義(バーリア・キャピタリズム、商業資本主義)
地理的に離れた市場の間に入り込み、一方で安いモノを購入し、それを他方で高く売って、2つの市場の間の「差異」を利潤として得る。シンドバッドの時代の商人の価値観
⑦最後には志が問われる
現代の企業経営者や従業員は、本質的に「戦士」と同類です。
ヘーゲル 他者と競争して初めて卓越への欲望が生まれ、それが歴史を進める。 合理性だけでは説明できない人間固有の本能を説明