作品一覧

ユーザーレビュー

  • 「科学者の楽園」をつくった男 大河内正敏と理化学研究所

    Posted by ブクログ

    「後進国であるアジアを脱し、ヨーロッパ列強の一員となる
    のだっ!」

    明治政府は脱亜入欧をスローガンに、日本の近代化を進めた。
    それは学術の世界にも影響を及ぼした。

    お雇い外国人を日本に招いて教育に力を入れ、優秀な若者たちを
    欧米に留学させた。この戦略は成功した。留学から帰国した者たち
    は大学教授として次世代の人材育成にあたることとなる。

    しかし、大学は研究機関としての機能を十分に果たしたとは言え
    なかった。このままでは日本の科学技術は欧米の模倣を脱する
    ことが出来ない。優秀な科学者たちが存分に研究の出来る機関が
    必要なのではないか。

    そこで誕生したのが理化学研究所である。ただ、理化学研究所も
    設立から資金難に見舞われ、なかなか軌道に乗せることが出来ない。

    のちに錚々たる研究者を輩出する理研も、3代目所長となる大河内
    正敏の登場を待たねばならなかった。

    本書では理化学研究所の創設から第二次世界大戦後までを、大河内
    を中心に描いたノンフィクションだ。

    年功序列や職制をとっぱらい、研究室ごとに予算はつけるが使い方は
    各研究室に一任。研究内容にも制限を設けない。正に「研究の自由」
    を追及した場所だった。

    大河内の掲げた研究理念や、研究成果を産業化して研究費を賄う発想
    も面白かったが、無名時代の田中角栄がこの大河内と絡んで来る部分
    が興味深かった。

    戦後、大河内はGHQから公職追放の処分を受け、理研も解体寸前にまで
    追い込まれた。そこへ角栄が絡んで来るのだから、面白くないはずがない。

    日本人がノーベル賞を受賞すると必ず日本国の首相が祝福の電話をして
    いる映像がテレビニュースで流れる。だが、受賞した科学者たちが揃って
    口にする「基礎研究が大切」という言葉を、この国のエライ人たちは
    まったく聞いちゃいないんじゃないかと思うのよ。

    だって、大学を研究機関じゃなくて、企業の人材育成機関にしようとし
    ているのだから。アメリカから言い値で武器を買うよりも、基礎研究に
    予算をつけた方が賢いやり方なのではないかしらね。

    0
    2018年10月20日
  • 愛国心を裏切られた天才 ノーベル賞科学者ハーバーの栄光と悲劇

    Posted by ブクログ

    空中窒素固定法が可能にした食料の大増産が人類を飢餓の恐怖より開放した。
    この偉業はフリッツ・ハーバーの名前を人類史上の偉人として永に刻むはずだったが、
    平和にあっては人類のために、戦争にあっては祖国のために尽くす。
    がモットーなユダヤ系ドイツ人の愛国者ハーバーは第一次世界大戦のさなかに祖国ドイツ勝利のために毒ガス兵器の開発に辣腕をふるう。
    彼の天才は最強の糜爛性化学兵器イペリットの開発を成功させ、悪夢の戦場をこの世の地獄に変えた。
    貧者の核兵器と言われる大量破壊兵器 毒ガス は核保有する大国と中小国家との戦力差を埋める戦略的な切り札として、今も各国で生産され貯蔵され続けている。
    そして、たまに使われてもいる(-_-;)
    毒ガス博士のドス黒い悪名はハーバーの令名を塗り潰し、彼の死後も、そして今に至っても狂気のマッドサイエンティストとフリッツ・ハーバーの名を貶め続けているのだ。ハーバーの窒素固定法により増産された穀物にたかり4割方を喰い尽くす害虫駆除にと開発した殺虫剤が、ナチスの絶滅収容所で同胞を殺戮するツィクロンBだって話になれば、悪趣味で不出来な神の冗談に反吐がでる思いの雑魚です。
    愛するドイツから追放されるハーバー。
    枢密院顧問官として皇帝に仕えた比類なき愛国者、世界に冠絶するドイツ科学界の偉大な指導者と仰がれてきた天才は、ただのユダヤ人ハーバーと祖国から石もて逐われ客死する。
    第三帝国と変じた祖国の蛮行が彼の耳目に届く前に命を召したのは残酷な神のせめてもの善意であったのかと。
    運命の綾に思いを巡らせずにはいられない。

    0
    2021年12月05日
  • 「科学者の楽園」をつくった男 大河内正敏と理化学研究所

    Posted by ブクログ

    ビタミンを発見した鈴木梅太郎、「うまみ」成分であるグルタミン酸を発見した池田菊苗、戦時中「二号研究」と呼ばれた核兵器開発計画を担った仁科芳雄、彼の元で学びノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎など多彩な才能を生んだ理化学研究所とは如何なるものだったのか。
    創設者であり、所長も務めた貴族議員の大河内正敏の信念が、朝永振一郎から「科学者の楽園」と言わせた、理化学研究所の自由な気風と、基礎研究を重要視しつつも、その応用と事業化にも力を入れて、社会貢献も果たす組織をつくを上げた。
    田中角栄まで関係していたというのには驚きました。

    0
    2016年02月15日
  • ハゲ、インポテンス、アルツハイマーの薬

    Posted by ブクログ

    薬自体はすでに新しいものではなくなってるから、内容的な目新しさはなし。偶然の産物としての薬剤開発は、ここに取り上げられているものに限らないけど、へぇ~って感じで面白いす。毒だと思われてたのが転じて薬になったり。書く人の立場によって、微妙に表現のニュアンスが変わってくるものだな~、って改めて思った。

    0
    2013年01月30日
  • ハゲ、インポテンス、アルツハイマーの薬

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    [ 内容 ]


    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

    0
    2011年04月15日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET