ソフィー・エルムハーストの作品一覧
「ソフィー・エルムハースト」の「極限の漂流118日間」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで202万冊以上配信中!
「ソフィー・エルムハースト」の「極限の漂流118日間」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
シンプルに漂流記かと思っていたが、想像以上に心理学的な内容だった。
書籍としては発刊年が2026年8月と新しいが、元となるエピソード自体は1973年と古く、既に関連書籍も出いてたものだ。
つまりベイリー夫妻が漂流したのは僕の生まれる前なので、そりゃ世界中で話題になったとはいえ、知らなくて無理もない。マラリンは2002年に亡くなり、モーリスも2018年に没した。モーリスは、本書を読んでみると意外に感じるが長生きし、2018年と近年まで存命であった。
根本的な教訓としては、古風な冒険がしたくとも、無線機のような命に係わる設備は用意しておくべき、ということだろう。
準備と漂流が1部と2部。そして残る後半3部に関しては、助かって以降の半生が辿られる。
なので漂流にハラハラするのは本書全体の割合としては多くない。密度は非常に高いが。
その代わり多く焦点を当てられるのが、対照的な夫妻の思考回路だ。
夫モーリスは現実主義で悲観的で鬱病気質で勤勉、神経質。
一方でマラリンは運命論寄りの思考で、前向きだ。
どちらも一長一短あって、どちらが良いというものでもない。
少なくともモーリスは周囲の人々にとって頭痛の種だったように見える。
私としても関わり合いになるは避けたいタイプではあるが。
人の思想や信条は複合的なものだ。
信仰や思想、性格をレッテル化したいずれかの要素に、行動の原因を単純に紐づけしにくい。
だから「運命を信じる思考がよい」とか、「悲観的なのは寿命を縮める」と一概に帰結できない。
ただ、本書後半に触れられていたように、一方が悲観的であることにより、もう一方が奮い立つという相互関係は充分にあり得るだろう。
兄弟姉妹の性格は、何番目の子であるかで傾向が似通るし、パレートの法則のように、ある集団内で怠ける人が2割いたとしてその2割を取り除いた集団を作っても、またその中の2割が怠けだしたりする。
集団の構成員の関係性によって人の行動が変わることを考えると、ベイリー夫妻それぞれの性格から教訓を導き出すのは栓無きことなのかもしれない。
ただ、結果論として、前向きでいること、そしてより掘り下げれば、前向きで居られる拠り所があることは命を救いやすいことは間違いないだろう。
私は今の推し活のブームをあまり肯定的に受け取りにくく感じているが、支えや拠り所、奮起せざるを得ないイベント(例えば災害や戦争など)がない環境では、人を生かすエネルギー源として有用なのだろう。
また逆に言えば、人は虚構だろうがなんだろうが、生きる意味を自ら生み出さずには居られない存在ということでもあり、潜在的な生きる意志の底力を感じさせらる。
Posted by ブクログ
いつも前向きで明るいマラリンと悲観的で自己否定的で完璧主義の人付き合いの苦手なご主人のモーリス、二人は閉鎖的なイギリスの生活から抜け出して、大海原を旅する生活に憧れ、無線通信機も装備せず、過去の偉大な船長にあやかり、天測航法で太平洋に分け入るもクジラとの衝突で船は沈没し、ラフトとボートを使い、118日間漂流し、本当に運よく、韓国の漁船に救助される。
漂流生活での二人の精神状態が克明に描かれていて、極限状態の中で何とかして希望を持ち続けたいともがく二人のあり様に自分ならどうだろうと想像しながらも、今回の漂流後、パタゴニアへの船旅に心惹かれ、また船旅に出る極限の生の充実感を味わい続けたいと願う冒険家の精神構造と生命の危険を省みないその行動に驚きと呆れる感情を抱きました。
人生と航海、平穏な暮らしと非日常的な場面で味わう生の充実感、我々凡人たちも程度の差は大きくあれど、怠惰な日常と非日常の高揚感は同じではないかとも思いました。
モーリスを精神的に支え救い、苛酷な漂流をリーダーとして切り抜いたマラリンの気高いポジティブ思考に拍手です。