要件定義の極意 「機能不全」「予算超過」「遅延」を防ぐ20のルール
著:松本 均
出版社:翔泳社
要件定義を深堀した書、考えさせられる。
膨大なコスト、時間、リソースを投入して、構築したシステムが、ユーザの満足度を得ることができない
これほど、無駄なことはないと思います。
建築でいえば、ビルを建てたのだが、使い勝手が悪く、テナントがあつまらないということです。
要件定義を成功させるには、業務の本質を理解し、関係者全員が理解・合意形成をしながら進めることが鍵となる。
本書は、
要件定義は何か、どうあるべきか、ではなく
これまでの要件定義をふりかえって、何が問題なのか、どう改善すべきなのか
というアプローチです。すくなくとも、要件定義のいろはは前提としてもっておいたほうがいい。
要件定義を、その失敗要因から、逆にアプローチをする。
プロジェクトオーナーの立場からの、大きな問いは3つ
それぞれの問題9つと、その解決策としてのルールが20という構成になっています。
①なぜシステムが機能不全になるのか
(1) 業務全体の視点が欠如 rule1,2
(2) 現場が理解できない設計 rule 3,4
(3) 現場の主体性の欠如 rule 5,6,7
②なぜプロジェクトは予算どおりに終わらないのか
(4) 技術検証の不備 rule 8,9
(5) 要件とビジネス価値の不整合 rule 10,11
(6) 見積もりの粗さと意思決定の遅れ rule 12,13
③なぜ納期は遅れてしまうのか
(7) 成果物の不透明性 rule 14,15
(8) 本質的な会話の欠如 rule 16,17
(9) 意思決定の不在 rule 18,19,20
これらの問題と解決策については、すべて、要件定義の問題ではなく、プロジェクト管理の進め方の問題かなというものもあるとおもいますが、つきつめていくと、原因は要件定義なのでしょうか。
本書がハイライトする旧来からの手法の違いは以下です
・DXが業務効率化からビジネス変革へのシフトをもとめていること
DX/AI時代になって、既存業務を前提に、必要な機能を整理するだけではおさまらなくなっている
・ウォーターフォール、アジャイル、ハイブリットモデルへの進化
ビジネスの高度化、大規模化、制約が厳しいプロジェクトにも、アジャイルを適用してしまっている
・AIが要件定義プロセスに与える影響
AIの進化、周辺技術の進化により、正確な要件定義を生成できる未来がくる
個人的には、破壊的アプローチである、AI技術が、エンドユーザの要求を汲み取って、高度なITシステムを生成する日もそう遠くないのではと思ってしまいます。
目次
はじめに
第1部 要件定義の意味
第1章 要件定義を見つめ直す
1.1 要件定義の役割と重要性
1.2 なぜ問題が発生するのか
1.3 要件定義の失敗がもたらすもの
1.4 まとめ:要件定義を戦略的起点として考える
第2部 「機能不全」を防ぐ極意
導入:なぜシステムが機能不全となるのか
Rule1 業務フローを起点にする
Rule2 現場の声を直接取り入れる
Rule3 「超具体的なユースケース」に落とし込む
Rule4 動くプロトタイプで具体化する
Rule5 要件の意思決定は確実に現場がする
Rule6 本質的に必要な機能に絞ってリリースする勇気を持つ
Rule7 開発経過を利用者と共有する
第3部 「予算超過」を防ぐ極意
導入:なぜプロジェクトは予算通りに終わらないのか
Rule8 技術的な検証を徹底する
Rule9 「トレードオフ」という発言を100回する
Rule10 ビジネス成長にこだわりを持つ
Rule11 エンジニア・デザイナーを要件定義に入れる
Rule12 小さい単位の見積もりを徹底する
Rule13 勇気を出して「できない」と伝える
第4部 「遅延」を防ぐ極意
導入:なぜ納期は遅れてしまうのか
Rule14 全成果物を透明化する
Rule15 すべてのやり取りを透明化する
Rule16 遠慮せずに確認する文化をつくる
Rule17 IT部門の業務理解と徹底した牽制を行う
Rule18 意思決定は一人に集約する
Rule19 優先度判断レコードを活用する
Rule20 意思決定者が決める覚悟を持つ
第5部 要件定義のこれから
第5章 要件定義の未来
5.1 要件定義の変化と現状
5.2 アジャイルとウォータフォールの融合
5.3 AIを活用した要件定義の未来
5.4 要件定義の変化を支える3つの柱
5.5 まとめ:変わらない要件定義
おわりに
索引