田中均という名の外交官については認識がなかったが、
彼が係ったという外交問題、日米半導体交渉、日朝問題 拉致被害者、北方領土、
竹島 慰安婦問題、、、これらは当然知っている。
脚光を浴びるのは首相たち政治家。小泉、福田、安倍。
半導体ではシェア20%をアメリカに約束した形となった渡辺美智雄、、
これが結果的に日本の半導体産業を破壊したことになる。
外交官、つまり官僚は政治家に知恵は吹き込んでも、決定権はない。
私はかねて日本の官僚が日本をダメにした、と言ってきた。
頭の固い古い、偏差値エリートが、世の中の流れを理解せず、日本を取り残したと。
この本はオーラルヒストリー、田中氏の語りを三人の編者がまとめているのだが、
彼の主義主張はきわめてまっとうに読める。
官僚という自分の立場をわきまえ、政治家に状況を的確に伝えていると。
無論ちゃんとした官僚もそうでない官僚もいるのだろう。
それは政治家も同じなのかもしれない。
しかし、、、
私はかつて安倍さんに期待したし、高市さんにも少し期待していた。
官僚の凝り固まった政策を打破する力をもって、クレバーな判断をする方々
なのではないかと。そして、クレバーにふるまうのではないかと。
とんでもなかった。安倍さんの評価はもういいだろうが、高市さん。
日米会談は徹夜して臨んだという。セリフはそうだったかもしれない。
その意味においては失言がなかっただけ合格点なのだろう。
きっと官僚らが相当苦心したはずだ。
トランプを持ち上げたのも裏読みしろ、ということでよしとする。
しかし、、アメリカでのあのふるまいはなんだ。
そして、自衛官が中国大使館に押し入ったのに謝らないのは、、、
これはまずいのではないか。外交官はどんな思いをしていることか。
政治は決断だ、とか言って独善的になっているだけではないのか?
危うすぎる。世襲議員なら仕方ない?かもしれないが、たたき上げでこれでは。
学んでなかったのではないか、と疑わざるを得なくなる。
なんてことを、この、経験値の高い外交官の話を読んで、思ったのでした。
はじめに……………田中 均
第一章 外交とは何か――外交は無から有を生む
日本外交の前提
外交官の世代論
冷戦後の安全保障環境
日米中関係を考える
経済から見た日米関係
外務省の人事について
外交の役割
外交と情報発信
第二章 日米同盟と安全保障――日米関係の虚と実
対米関係で意識したこと
中曽根政権期の日米関係
湾岸戦争の衝撃
朝鮮半島問題と日米安保
日米安保体制の再確認と普天間返還合意
外交交渉とステークホルダー
台湾海峡危機
日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定
核問題
ガイドライン改定の成果
中国をめぐる日米同盟
第三章 朝鮮半島問題――日本外交の原点
朝鮮半島外交の原点
大韓航空機爆破事件
北朝鮮への制裁問題
第一次北朝鮮核危機とKEDO設立
日朝交渉の総括
日朝交渉のはじまり
小泉首相訪朝
平壌宣言の草案起草
アメリカ政府の姿勢
安倍晋三副長官へのブリーフ
日朝首脳会談と拉致問題
拉致被害者の帰国
日朝交渉の停滞
コラム① 平松賢司氏からみた田中均氏
第四章 経済問題――経済実務は経験の宝庫
経済協力の現場から
日米経済摩擦
日米半導体交渉
市場開放と規制緩和
経済制裁について
中国へのセーフガード発動
インドとパキスタンへの経済制裁
第五章 東アジア共同体構想――見果てぬ夢
GATT・WTO体制から経済連携協定(EPA)へ
東アジア共同体構想
ミャンマーの民主化に向けた外交
価値観外交の台頭
アメリカとの距離感
課題を抱え過ぎているインド
ライフワークとしての東アジア
第六章 グローバル課題――国連改革や中東問題への対応
イラク派兵
北方領土交渉
国連安保理改革
イランとの協議
第七章 歴史問題――外交の歴史問題とは何か
歴史問題に対する考え方
サハリン残留韓国人問題
戦後処理問題を引き受ける
慰安婦問題への対応
アメリカ議会の対日戦争補償要求決議
小泉首相の靖国神社参拝問題
竹島問題
コラム② 梅本和義氏からみた田中均氏
第八章 政官関係――歪みが外交の沈滞化に繫がる
官邸主導外交とは何か
プロフェッショナルの果たすべき役割
第九章 知的交流――退官後に取り組んだ知的交流と人材育成
有識者とのかかわり
英国国際戦略問題研究所(IISS)での経験
退官とJCIEシニア・フェローへの就任
民間における知的交流の重要性
人材育成について
政治家と外交
日本の知的交流に足りないもの
日本外交には自律性が必要
注
解 題……………井上正也
あとがき……………佐橋 亮
田中均年表
索 引