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  • 薬物戦争の終焉――自律した大人のための薬物論
    4.0
    1巻3,960円 (税込)
    2022年10月、米国のバイデン大統領はそれまでの大麻規制政策の誤りを認め、政策の抜本的改革を表明した。1971年にニクソン大統領が薬物規制の取り組みをして「薬物戦争」と呼んでから半世紀、米国の薬物政策は転換期を迎えている。コロンビア大学で依存症を中心とした研究に従事する著者が本書で主張する政策は、自律した大人の薬物の娯楽的使用を合法化すること、薬物の正しい知識を政府が市民に提供することだ。著者は自身の使用経験も赤裸々に語りながら、薬物の本当の効果、健康被害を防ぐ安全な使用法、薬物の娯楽的使用のメリットを丹念に説明していく。そして、健康被害だけでなく、薬物戦争にはもうひとつ深刻な問題がある。違法薬物の使用経験率に人種間の偏りはないにもかかわらず、逮捕され、投獄される人々は黒人や有色人種が圧倒的に多いのだ。彼らはきまって貧困地域に暮らし、逮捕や服役によってさらなる社会的弱者へと追いやられる。米国の薬物政策の歴史は、こうした人種差別や制度的暴力を、国家ぐるみで黙認してきた悲劇の歴史なのだ。なぜ、かくも差別的な厳罰主義が横行してきたのか――黒人であり、ヘロインユーザーである神経科学者が、実体験も交えてその構造的な問題を多角的に解き明かし、違法薬物をめぐる神話を解体する。

ユーザーレビュー

  • 薬物戦争の終焉――自律した大人のための薬物論

    Posted by ブクログ

    薬物は危険で、1度でも手を染めたら薬物中毒者になってしまい、暴行や犯罪を巻き起こす諸悪の根源だと言うのが世の中の常識である。しかし、著者の主張はそうではない。お酒と同じように節度ある大人が適切に管理をして楽しめば、自分の気持ちを高めてくれたり、幸せな気分にしてくれるただのツールに過ぎない。
    貧困や人種差別などの問題を覆い隠すために、薬物に対する間違ったイメージが利用されていると主張している。今までそういった視点で考えた事はなかったが、エビデンスをもとにした著者の主張には説得力があり面白い。

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    2025年07月29日

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