作品一覧

  • 対訳 技術の正体 The True Nature of Technology
    4.7
    1巻1,210円 (税込)
    哲学者・木田元の生前最後の著書。 「技術の正体」「春の旅立ち『風の色』」「ふたたび廃墟に立って」の3作とそれぞれの英訳を収める。 「技術の正体」は、技術についての「われわれの思い違い」を考察したエッセイ。 《人間の理性が技術を作ったというのは実は間違いで、技術というものは理性よりももっと古い起源をもつ。したがって、人間が理性によって技術をコントロールできるというのはとんだ思いあがりではないか》「はじめに」より 「春の旅立ち『風の色』」と「ふたたび廃墟に立って」は、東日本大震災後、若者たちに向けて書かれたエール。 《新京駅には同行八人分の家族や友人たちが見送りにきてくれていた。そのとき別に私は、四か月後に起こるソ連軍の侵攻や祖国の敗戦、戦後そこに残った者たちを襲う過酷な運命などを予感していたわけではないのに、自分が生きてふたたびこの街に帰ってくることはないだろうと妙に強く確信し、ある後ろめたさを感じていた。あの戦局では、むしろ軍籍に入る私の戦死する公算のほうがはるかに高かったのだが、それでも自分は安全地帯に逃げ出そうとしているとどこかだ思っていたのだろうか》「春の旅立ち『風の色』」より 《あのころ、これ以上ないほど貧しかったが、なにも欲しくなかった。廃墟に立って、ただ自分が何者なのかを見きわめたいとだけ、烈しく思っていたことを覚えている》「ふたたび廃墟に立って」より

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ユーザーレビュー

  • 対訳 技術の正体 The True Nature of Technology

    Posted by ブクログ

    『技術というものは、どうやら人間の思惑などには左右されず、自己運動し、自己展開するものらしい』―『はじめに』

    理科系の頭の中には常に因果律が根本的な心情として存在していて、原因となる運動があり結果となる作用がある、という考え方に知らず知らずの内に拘泥している。しかし複雑系という考え方を待つまでもなく、至極単純に思えたニュートン的運動力学でさえ、対象となる物体が二つから三つに増えただけでその行方を正確に予想することが困難となる(三体問題)。単純な因果関係は成立しない。それが分かっているから、問題を解くために問題の一部を極端に単純化し、解を求める。そうして求めた近似解を万能解のように振りかざして

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    2018年09月25日
  • 対訳 技術の正体 The True Nature of Technology

    Posted by ブクログ

    技術は人間の理性が作り上げたものではなく、人間の前に技術があり、人間を人間足らしめたのは技術である。非常に納得するが、とはいえ、技術進歩は人間が起こしているもので、複雑になるにつれ、アンコトローラブルに陥るからこそ技術者は責任と倫理を持たなければならないような気がする。

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    2015年01月03日
  • 対訳 技術の正体 The True Nature of Technology

    Posted by ブクログ

    池澤夏樹さんが言うまでもなく、技術を畏怖し、その意義を考えるという思想が存在した。
    今になってそんな哲学が見直されている気がして何だか心強く感じる。追加の二編も非常に気持ちが良い。

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    2014年05月28日

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