中学二年生の女生徒三人が入れ替わるお話。
人の目が気になって本音が言えない、ひとみ。主人公。
クラス一の美少女で人気者のしずか。
クラスの嫌われ者で変わり者の押川さん。
事故をきっかけに、ひとみはしずかに、しずかは押川さんに、押川さんはひとみに、心が入れ替わってしまった。生死の狭間に現れた天使としずか、押川さんと話していて、実はそれぞれがそれぞれになりたかったということが分かった。ひとみは確かに人気者のしずかちゃんになりたかったけど、押川さんが自分になりたかったってどういうこと?と疑問に思いながらも、入れ替わり生活がスタートした。
三人の入れ替わりってまたややこしいなと思いながらも、読んでいて全くストレスがないことに驚きました。設定はややこしいけれど、その分それぞれのキャラの立ち位置が分かりやすかったので困難さを感じなかったのだろうと思いました。
人気者のしずかちゃん、でもそれゆえにいつでもどこでも誰かと一緒にいて、気遣いが欠かせないという裏面がある。
嫌われ者の押川さん、話しかけても反応がなくボーッとしているゴーイングマイウェイな人。人に気を遣うようなことはない孤高の人、だけれど外からは見えない、押川さんの世界はもっと広くて深かった。
ひとみは中間値という印象。
この三人の立ち位置が分かりやすかったです。だからこそ、それぞれがそれぞれの苦労を知って自分に戻るありきたりな話なのかなあと頭の片隅で先を見越しながら読んでいましたが、途中で入れ替わりを変える展開におおっ?!と思いました。
最後まで読み切った後の感想は、少女漫画を文章で読んでいるような気分になったということです。私は少女漫画が大好きなので、とてもとても、楽しめました。主要登場人物の性格は分かりやすいほどステレオタイプだけれど、それを丁寧に紐解いて関係性を構築していってくれたこと、周りにいる人たちも分かりやすいタイプばかりでしたが、入れ替わることでその裏面を見ることができる、単純に優しい人ばかりというわけでもない。人間関係を優しく丁寧に描いていて、分かりやすくて一見ありきたりに思えるお話という入り口ながら、中身は読んでいて優しい気持ちになれる、皆頑張って!と応援したくなるお話でした。
いいお話だったなあとほっこりできました。
一点、気になったことといえば、押川さんの病気が唐突過ぎたなあという点です。入れ替わった時にほんの少しでも、身体の異変や不調を感じる場面があってもいいんじゃないか、というかそうなるもんじゃないか?と思いました。