独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
ちなみに自分はゲイ寄りのアロマンティック(アセクシャルではない)です。
青井先生の絵が自分の好みでなかったのと、マンガだったので星3つとしましたが、これが活字のみでの語りだったら自分はもっと感情移入して読めたかもしれません。
なので、自分の好みという意味で若干評価が低くなっていますが、内容的には非常に重要です。そもそもメディア(自体がマジョリティ)に取り上げられるマイノリティは、やはりキラキラしていないと注目されないので、ゲイもメディアのイメージには引っ張られますが、男性でも女性でもLGBTQ+でも、いい奴もいれば嫌な奴もいます。
以前、ある大学の社会学の先生(性的マイノリティ当事者でジェンダー研究者)の授業を取ったことがありますが、(特に女子)学生に「どうしたらゲイの友達ができますか?」と聞かれるが「我々はあなた方のアクセサリーではないと突っぱねます」と仰っていたことがあって、それ自体には非常に共感しました。
とはいえ、それはおそらく、その先生や、わりとハイソな当事者の人たちに変なプライドがあることの現れのような気もしたのでした。
特にこの本の青井先生が仰るマイノリティの学歴問題って結構深刻なはず。おそらく、自分のマイノリティ性に若いときに気づいた場合、それに忠実に生きるには、そもそも家庭と中心とした生活環境がリベラル的であることが必要で、そうなると必然的に都会でのリベラル、地方での保守性に嫌が応にも影響を受けざるを得ません。
職業選択も決して自由ではなく、なんとなくメディアで性的マイノリティが高学歴であるのは、高学歴になって、社会的地位の高い職業(例えば、「きのうなに食べた?」で弁護士や美容師)に就かないと、自分の性的志向に忠実であることが許されない(ブルーカラーなどは今も同調圧力が高い可能性がある)から、という(日本の)社会的風土に起因している部分が大きいと考えられます。
学歴や職業も含め、その人が育ってきた環境に左右されて、「同じゲイだから」というところで協調できるかといえば、それはまた別の話でしょう。自分も以前職場でハラスメントを受けましたが、そのときの上司はいずれも女性で、だからといって女性嫌いになるかといえばそんなことありませんでした。その後の職場でのハラスメントも女性からでしたが、そこを解決しようと動いてくれたのは別の女性上司でした。
さらにその前の職場では、日本人上司には愛想を尽かしましたが、外国人の同僚とは、日本語が話せなくても仲が良くて、そういう意味ではやはり国籍や性別は関係ないなと思いました。
そういう意味では、「ゲイだから」という属性で一緒にというのも、難しいのかもしれませんね。自分自身、同じ男性でも、体育会系思考の人とは一緒にいたくないですし・・・。
人間一人一人をちゃんと見れば、そんなに属性に囚われる必要はなさそうです。そういう意味で、一人一人に向きあう、特に時間的なゆとりが我々には必要なのかもしれないと考えさせられました。