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  • 発展する地域 衰退する地域 ──地域が自立するための経済学

    発展する地域 衰退する地域 ──地域が自立するための経済学

    ビジネス・実用

    4.3
    1巻1,716円 (税込)
    大都市の気ままな流行りや、公共事業、工場誘致に頼るのはもう終わりにしよう! それぞれの地域が持つ財を利用し、住民の創意を生かした活動をしない限り、経済的発展はない! かつてのベネチアのように、必要なものを自らの手で作り、近隣地域と共生的な交易を行えば、技術は高まり、雇用も生まれ、地域は自然と活性化する。アメリカで大規模再開発により街が「死んで」いく過程を観察したジェイコブズは、街や地域が生み出すダイナミズムに注目、経済が発展・衰退する鍵を、古今東西の無数の例から探り出した。地域が自立するための処方箋を描いた先駆的名著。

ユーザーレビュー

  • 発展する地域 衰退する地域 ──地域が自立するための経済学

    Posted by ブクログ

    「輸入置換」とか「衰退の取引」とか、なかなかに生硬な翻訳用語が多用されているため、シロウト的にはもう少し噛み砕いて説明してほしいなと感じたし、全部理解できたかと言われると心許ないが、かなり核心を突いた本なのではないかと直感的に感じた。

    地方の経済活性化とか、発展途上国の開発援助とか、わたしが子供の頃から世間でずーっと行われてきたけど、あまりうまくいっている例を聞かない事業がたくさんある。
    税金や補助金が湯水のように使われているにもかかわらず。

    木下斉氏の本など読むと、地方の町おこしの暗い闇の実情が窺われたりするが、そういうお金は誰かを潤して、そして地元には残らない。砂漠に水が吸い込まれてしまうようにシュッと消え去ってしまう。

    企業城下町や単作物産業で繁栄した町も、それがなくなれば火が消えたように衰退する。

    結局地元が自前でリスクをとって、他では真似できない産業や製品を編み出して他の地域と取引ができるようにならなければ、また、それで得た利益を地元に落としてさらに地元を富ませるサイクルを作らなければ、町は衰退する。

    著者は国単位でなく都市単位で経済の盛衰をまるで健康診断をみるようにと示唆する。確かにその方がいいかも。
    また、大胆にも地域通貨を創設することで地方同士の取引が活性化されるとの提案も。

    要するに経済圏を、昔の藩ぐらいの単位で回したら良いのかなと思う。

    正直、中国やロシアと隣接する九州、北陸、北海道などは、東京にはない地の利があり、貿易でも人的交流でもどんどんやったら今より繁栄できるのでは?と思っていた。行政単位を昔の藩ぐらいに分けて、それぞれが産業や人材を育成する方が繁栄できる気がしていたので、ジェイコブス氏の指摘にはうなずくことが多かった。
    そして衰退する町や国に生きることの怖さも感じた。



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    2021年01月16日
  • 発展する地域 衰退する地域 ──地域が自立するための経済学

    Posted by ブクログ

    ”はじめに都市ありき”

    ”都市”は文明社会の専売特許と考えられているが、そもそも人類が住まうことになった場所は”都市”だった―いや、むしろ、人類がはじめて荒野に旅立ったとき、肩を寄せ合って過ごしたはじめての夜。その場所。それはすでに”都市”であったといえるのではないだろうか。

    現代社会の課題を考えるとき、都市―そして都市と都市のつながり―を中心に据える方法論。

    街路には多様な世代、職業、ルーツの人々が行きかう。都市と都市、地域と地域へと交易が展開していく。自立と共生の輪が拡大していく。これこそが文明が発展してきた道筋ではないだろうか。

    この本を片手に、街へ出よう。

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    2019年01月25日
  • 発展する地域 衰退する地域 ──地域が自立するための経済学

    Posted by ブクログ

    補助金が地域をダメにする

    地方経済の衰退を食い止めようと、日本全国あちこちで「地域おこし」が盛んだ。たいてい役所の肝いりで、補助金がついてくる。「そんなことをやっているからダメなのよ」と本書の著者、ジェイン・ジェイコブズなら一喝することだろう。

    ジェイコブズによれば、経済発展のカギを握るのは都市である。輸入品を工夫しながら模倣し、自前の製品に置き換えていく「輸入代替」は都市の機能であり、それが経済発展の原動力になる。東京における自転車産業の発展は、その優れた例である。

    ポイントは、自前でやることだ。「いかなる経済も、自前でやるか、さもなければ発展しないかのどちらかである」とジェイコブズは断じる。だから軍需は一時の好景気は生んでも、長期の発展にはつながらない。基地や駐屯地にどれだけ多くの輸入品が運び込まれようと、そこで製品が自前でつくられるようにはならないからだ。

    場合によっては軍需以上に始末に悪いのが、福祉を名目とする補助金である。一見、補助金はすばらしいもののように思える。貧しい人が消費財を買えるようになり、病院、学校、水道、電気設備などの建設・設備への注文も増える。しかしイノベーションも輸入代替も起こらないから、自立した経済発展にはつながらない。

    補助金の原資は税金だから、都市が自前で稼いだ収入(稼得)を食い荒らし、都市と経済を衰退させる。「都市から搾り取られる補助金は根本的には発展に逆行する取引なのである」とジェイコブズは警鐘を鳴らす。

    ジェイコブズは高く評価する日本について「時がたつにつれて、慢性的に未発展の地域に対する補助金をますます増や」すだろうと暗い予想をしている。原書の出版から35年たった今、その予想は見事に的中しつつある。

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    2019年01月11日
  • 発展する地域 衰退する地域 ──地域が自立するための経済学

    Posted by ブクログ

    都市計画の講義などでは必ず示される『アメリカ大都市の死と生』の著者ジェイコブズが、都市同士のかかわりやそれによる都市の盛衰に目をむけて視野を広げた一冊(旧訳題『都市の経済学』)。
    『アメリカ…』ほど名が知れていないが、それは、塩沢氏の解説でも指摘されているとおり、それまでの都市経済学の根本を覆すような大作であるがゆえに、かえってなかなか後世の研究者による追随や拡張を許さなかったという面があるのだろう。

    しかし今日の日本では、「地域(地方)が消滅する」といった文脈から地域再生に目が向けられ、また藻谷氏の『里山資本主義』が売り上げを伸ばす等しており、ジェイコブズによる主張にようやく世間が追いつき、参照しようとしているのかもしれない。(『里山資本主義』はまさにジェイコブスのいう「輸入置換」の重要性を、よりミクロな視点から説いたものであるとも言える。)
    20年以上前の著作であるが、きわめて今日的であり、地域ないし国家において行政・経済・都市計画・インフラ整備、あるいは国際協力に携わる者に対し重要な問題提起をする。必読。

    個人的には、TVAの失敗のことや、ミャンマー(ビルマ)の鎖国的政策のことにかかわる記述が印象的。
    前者は、TVAはえてして土木工学(河川工学)において、日本にとっての見本となったと語られるものだからだ。
    また後者は、ミャンマーは現在日本(やその他先進国)から急速に"技術を含めて学びながら"投資を受け入れており、これが恐らくミャンマー(ヤンゴン)の輸入置換、経済発展を実現するだろうと考えたからだ。

     ===

    本書でのジェイコブズの主張は、おおよそ以下のとおり。
    (なお、<>は便宜的に大見出しをつけてみたもの)

    <0.導入:都市の経済学へ>

    ○経済成長を考える際の単位は「都市」であるべき。(「国民総生産」から始めるスミスの議論だとか、「途上"国"」の今後の発展を前提とする議論とかは、間違っている)【1章】

    <1.都市と輸入置換と5つの力>

    ○都市は「輸入置換」により成長する。(つまりイノベーションによる成長する)【2章】

    ○輸入置換により成長した都市は、その周辺地域に5つの観点で(バランス良く)影響を与えることで、「都市地域」とも呼べるような一帯を育む。それは「(1)市場、(2)仕事、(3)移植工場、(4)技術、(5)資本」の5つの力である。【3章】

    ○逆に、中核たる輸入置換都市なくして、これらのうちいずれかの力"のみ"を遠隔地に投入しようとしても失敗する。【4-9章】

    ○よって後進都市の成長のためには、輸入置換・イノベーションが必要だが、それは緩やかで日常的で流動的な交易におけるインプロビゼーション(ちょっとした創意工夫)によってのみ生まれる可能性がある。だから先進都市経済との交易ではなく、後進都市同士の交易を必要とする。【10章】

    <2.国単位から、地域単位へ>

    ○(国毎の)通貨というのは、対外貿易では、行き過ぎた経済格差を(為替変動により)修正する機能を有するが、地域単位での格差を修正しない。それどころか国単位で丸められることにより、例えば首都の都市が強力であれば、その他諸都市はそれに引きずられた調整を受けてしまう。【11章】

    ○よって、諸都市が停滞してきた際にも国として束ねるべく、諸都市には(1)軍需生産を与えたり、(2)補助金・交付金を与えたり、(3)先進都市による投資をしたり、するのだが、これらは諸都市のインプロビゼーションや輸入置換を妨げる、いわば「衰退の取引」である。【12-13章】

    ○結局のところ、地域ごとの多様性・自由さ(=ガチガチに縛らない「漂流」的なあり方)こそ、インプロビゼーションそして発展を可能にし得るのだ。【14章】

     ===

    最後に、二編の解説について。
    一つ目、片山氏(もと鳥取県知事)のものは、解説というより、自己紹介とコメント、といった形。自分の知事時代の功績を(ジェイコブズの主張に照らして)美化して記述する様子には違和感がある。しかし、公共事業の経済効果に係る見方には、ある程度、なるほどと思った。また地域通貨についての「今後改良されて、地域間格差を埋める手立てとなれば」という指摘には全く同感。

    また二つ目、塩沢氏のものは真っ当な解説で勉強になった。本書の背景や意義を、自身の本書への出会いから得た衝撃も織り交ぜながら、分かり易く説明している。「関西経済論」に関する記述だけは、やや冗長に感じたが…。

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    2015年02月06日
  • 発展する地域 衰退する地域 ──地域が自立するための経済学

    Posted by ブクログ

    本書でいう発展や衰退の意味は、経済的にという意味である。本書では経済循環が行われる単位を地域ととらえ、そのメカニズムを説明しているが、これは非常に画期的な見方であると感じた。なぜなら、多くの経済動向に関する著作が、アメリカ、とか、日本といった国家の単位でしか語られておらず、極めてリアリティに欠ける内容に感じられたからだ。考えてみれば、日本という狭い国でさえ地域における経済格差が体感できるほどであるから、国という単位で経済云々を語ること自体乱暴であると気付くべきであった。
    本書はソ蓮崩壊前の80年代に書かれたものであるが、その内容については今日でのも十分説得力のあるものだと感じる。

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    2013年10月14日

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