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  • ラジオと戦争 放送人たちの「報国」
    4.3
    1925 年に登場し、瞬く間に時代の寵児となったラジオ。そのラジオ放送に携わった人々は、ラジオの成長と軌を一にするかのように拡大した「戦争」をどう捉え、どう報じたのか、あるいは報じなかったのか。また、どう自らを鼓舞し、あるいは納得させてきたのか。そして敗戦後はどう変わり、あるいは変わらなかったのか――。 上記をテーマに、NHK放送文化研究所の月刊誌「放送研究と調査」は、2017 年8 月号~21 年12 月号で、5 年にわたり「戦争とラジオ」を掲載した。その連載を単行本化したものが本書である。筆者の大森淳郎はNHKのドキュメンタリー番組のディレクターとして、戦争中のラジオについても長年取材を続けたのち、2016年~22年12月まで同研究所の特任研究員を務めた。 本書では、記者・ディレクター・アナウンサー…といった「放送人」たちが遺した証言と記録、NHKにある稀少な音源・資料などを渉猟し、丁寧にたどり、検証しながら、自省と内省の視点を欠くことなく多面的に「戦争とラジオ」の関係を追う。 ひいては、非常時において、メディアに携わる者がどのように思考・模索し、振る舞うべきなのかをも照射したノンフィクション。

ユーザーレビュー

  • ラジオと戦争 放送人たちの「報国」

    Posted by ブクログ

    歴史修正主義にまんまと乗ってしまう人、
    国の施策・サービスを知らないがために受けられるべき支援を受けられない人がいる。
    自分は本を読んだり情報を自分から取りに行くことで何とかついて行っていると自負するけれど、
    世の多くの人は、何も知らず、世の中に流される。
    電車の中で寝ていたり、スマホゲームに没頭したりしている。
    つくづく、教育の必要性を感じる。
    今の文科省の教育ではない。
    生きていくための教育、リベラルアーツだ。

    しかし、さて、どうやって?
    と考えたとき、戦前はラジオ、戦後はテレビがその手段であったのだ、と気づく。
    テレビの視聴率、紅白や大相撲で80%を超えた、なんて聞いたことがある。

    1
    2023年10月06日
  • ラジオと戦争 放送人たちの「報国」

    Posted by ブクログ

    1925年、日本で初めてラジオが産声をあげる。
    それ以降、ラジオの役割は大きくなり、唯一の放送機関である日本放送協会は、政府に取り込まれていく。中にはリベラルな考えの矜持を持って取り組む人もいたが、徐々に軍国主義化していくなか、完全に御用放送機関となる。

    例えば、陸軍中将・堀内文次郎は「大和民族の覚悟」という講演で、「利巧らしく平和主義などを唱えている新しがり屋」を驚倒していたし、陸軍戸山学校長・等々力森蔵は「国力と体育」と題して、体育をないがしろにしてきた結果、「外国の宣伝菌にも直ぐ侵され、思想病に権」る者が増えてしまったと嘆いている。
    一方日本の社会主義運動の先駆者の一人である安部磯雄は

    0
    2024年08月16日
  • ラジオと戦争 放送人たちの「報国」

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ラジオと戦争
    放送人たちの「報国」

    著者:大森淳郎、NHK放送文化研究所
    発行:2023年6月25日
    NHK出版
    初出:月刊『放送研究と調査』(NHK文化研究所) ①2017年8月号&9月号 ②同12月号&2018年1月号 ③2018年8月号 ④2019年1月号&2月号 ⑤同11月号&12月号 ⑥2020年8月号&9月号 ⑦2021年3月号 ⑧同11月号&12月号(全8章)

    600ページ近くある、大論文でもあるが、第6章に核があるかもしれない。それは、それまでなかったアナウンサー理論の確立について。放送が始まってから、綺麗であることなどしかなかったアナウンサーのニュース読み。どうしたら伝わ

    0
    2024年05月11日
  • ラジオと戦争 放送人たちの「報国」

    Posted by ブクログ

     いつも聴いているpodcastの番組に著者の大森淳郎さんがゲスト出演していて、本書についてお話ししていました。
     大森さんは長年NHKでディレクターとしてETV特集等を担当していた方です。
     本書は、その大森さんが、NHK放送文化研究所の月刊誌「放送研究と調査」で連載した記事をまとめたもので、太平洋戦争当時、ラジオ放送に関わった「放送人」が何を考え、どう行動し、何をしなかったのかを貴重な証言や音源から顕かにしていくノンフィクション作品です。
     丹念な取材にもとづく力作で、読み応え十分です。

    0
    2024年03月02日

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