山崎幸治の作品一覧
「山崎幸治」の「貧困と飢饉」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「山崎幸治」の「貧困と飢饉」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
飢饉は食料不足で起こるのではなく、交換権限写像の不足によって起こるのだということが全編を通して語られている。
「好況が不平等な経済活動の拡大を伴っている場合、たとえば都市住民に有利に働き、農村の労働者を取り残す場合、好況のプロセスそれ自体が主要な役割を果たす。食料を得るための闘いは、他人のことは構わない世界であり、あるグループが他のグループの繁栄ゆえに苦しむこともあり得るのである。」
1943年にベンガルに飢饉を引き起こしたメカニズム
「当時の都市住民は戦時景気の恩恵を受けていた。日本軍が間近に迫っており、イギリスとインドの国防費はカルカッタを含むベンガルの都市部で集中的に支出されていた。
Posted by ブクログ
簡単なメモ
・飢餓は食料供給の減少からなるというアプローチでは飢餓の十分な説明にはならず、所有の権限からのアプローチで飢餓を捕らえた方が有効なケースが多い。例えば供給量が十分でも、ある層の所得が急上昇して食料需要が上がり価格が上昇すると、それに取り残された少ない?権限しか持たない貧困層は食料を得られる機会が減少する。
・今、世界は気候変動で食料供給の不確実性が増しており世界中で同時に不作が起こるケースがあった場合、この権限アプローチは有効性を持つのだろうか?要するに、他国から食料を調達費用が急上昇した場合である。そのような場合、市場原理よりも政府含む公共部門が本書で述べられてる以上の役割を
Posted by ブクログ
貧しい国も貧しいうちは保健と教育に投資した方が良い。「(貧しい国が保健と教育に多くを支出する余裕があるのか)多くの貧しい国々――スリランカ、中国、コスタリカ、インドのケーララ州他――がまさしくそれに成功したという、実証的な事実について述べるだけではなく、裕福な国より貧しい国の方が公衆衛生・医療サービスや基礎教育制度を提供するコストがはるかに安いという、一般的な事実を理解する必要もある。その理由は、保健も教育も労働集約的な活動であり、貧しい国の方が賃金が低いために保健や教育のコストがずっと安くなるからである。(中略)国が非常に貧しいうちは、これらのサービスに支払わなければならないお金もまた、著し
Posted by ブクログ
インド生まれ、1998年にノーベル経済学賞を取ったアマルティア・センの著書。
「飢饉」が何故起きるのかと探り、食料総供給量の減少によるという従来の通説(FAD)を、原因としてそれだけでは説明できないとして退け、或る階層の人々が食料を手に入れる権原が損なわれるためである、という自説を展開する(権原アプローチ)。
実際の大飢饉、ベンガル、エチオピア、サヘル地域、バングラディッシュでの統計データに基づいて、詳しく分析しているのだが、数値データを経由して、現実界の様相がそれとはかけ離れた抽象的な学の論理へと跳躍するさまは、デリダなんぞを待つまでもなく脱構築的なスリリングさだ。経済学は社会学的観察から遠