阮蔚の作品一覧

「阮蔚」の「世界食料危機」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 世界食料危機
    4.0
    <<ウクライナ危機が浮き彫りにする飢餓の構図>> ■肥沃な土壌「チェルノーゼム」(黒土)が広がり、世界的な穀倉地帯を抱えるウクライナ。広大な農地を抱え、農産物の増産に力を入れてきたロシア。両国は近年、安価な穀物の輸出をとおして、アフリカやアジアの途上国を中心に数億人の食料を支えてきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻により「世界のパンかご」とも呼ばれる豊穣な地域は破壊され、世界の食料事情は一変しつつある。世界食糧計画(WFP)によれば、アフリカ北東部では干ばつが続き、深刻な食糧難に直面する人は2200万人に達する。さらに危機は拡大すると予測されている。 ■著者は世界の食料の危機的状況が、両国の戦争状態解消によってすぐに正常化するとは考えていない。世界の食料生産は構造的な問題を孕んでいるからだ。原油価格の高騰やバイオ燃料の増加、大国による穀物の低価格輸出、地球温暖化と異常気象、新興国での食肉消費の増加など、解決が困難な問題が山積している。 ■足元では、化学肥料の流通減と大幅値上げによって使用の抑制が広がり、来年以降の収穫減が見込まれる。気候変動などの中長期的問題に戦争の災禍が加わり、世界の食料生産は複合危機に陥る可能性が高まっている。本書は、こうした飢餓の解決を阻む構造的な問題を徹底解説するとともに、日本の食料安全保障にも言及した必読の1冊。 【目次】  第1章 侵略された「世界のパンかご」  第2章 食肉の消費拡大が飢餓を生む  第3章 地球温暖化がもたらすもう一つの危機  第4章 食料か、燃料か  第5章 飢餓を招く大国の論理  第6章 化学肥料の争奪  第7章 日本の食料安全保障

ユーザーレビュー

  • 世界食料危機

    Posted by ブクログ

    ☆☆☆2025年9月☆☆☆

    仕事の関係の穀物の国際相場価格や需給のデータと向き合うことが多くなった。大豆、小麦といった穀物が世界に与えている影響の大きさにはただ驚愕することが多いし、それだけ世界の食糧事情はリスクを伴っているともいえる。
    特に興味深いのは、自動車と人間が穀物を奪い合っているという話。つまりはバイオディーセル。サトウキビやパーム、大豆油、菜種油といった作物からバイオディーゼルが作られ、人間の食糧に回る分が減少し価格が高騰。貧困国で深刻な飢餓が発生するという話。
    日本にとっても他人事ではないと肝に銘じるべきだ。
    遺伝子組み換え技術などによって穀物の収量は暗てしているが、本当にそれ

    0
    2025年09月08日
  • 世界食料危機

    Posted by ブクログ

    著者は中国出身の農林中金研究所の研究員。良書。
    ウクライナの戦争で食料調達の世界の構図が浮き彫りになった。この国は世界有数の小麦の輸出国。日本の小麦の需給には影響は無いものと思われたが、それは日本がアメリカなどから小麦を輸入をし、一方でアフリカなど貧しい国がウクライナの小麦を輸入しているから。見方を買えると食料の輸出国と輸入国の関係性は思っているほど単純ではなく、様々な事情や利害が絡み合っていることがわかる。
    他に食肉や化学肥料の需給についても総括的に網羅されている。自給のリソースが限られている日本は世界に依らざるを得ず、その一方で貢献できることは科学の力でグローバルの視点で安定した食糧供給体

    0
    2024年04月22日
  • 世界食料危機

    Posted by ブクログ

    ウクライナ-ロシアの対立による小麦流通量減少の世界的(特に中東、アフリカ)への影響からバイオ燃料、肥料をめぐる将来的な争いの可能性など食糧の安定供給に紐づいた懸念を解説している。初学者向けでわかりやすく勉強になった。

    1
    2022年11月12日

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