保健体育の教科書にせよ、自動車教習所の教本にせよ、防災本ってじっくり読むことがない。
そのため、どちらにも書いてありそうな内容を一から知るということが今回多々あった。同時に、世間の常識も知らなかったりして…と危機感も覚えた。
しかし自分の周囲は防災知識を熟知しているかと問われると、即答できない。日々防災に関するニュースが報じられているものの、国単位で知識が浸透しているようにも思えない。(極めて災害大国なのに…)
防災系YouTuberで元レスキュー隊員。モットーは「助かる命を助けるために」。
「タイチョー」というペンネームの著者が執筆した本書では、自然災害や日常生活における事故の他、ミサイル発射時やハラスメントから身を守る方法までが如実に記されている。
冒頭で書いた防災本の内容はさることながら、そこから一歩踏み込んだ、レスキュー隊ならではの防災術が多いのも特徴的だ。
写真だけでイメージできない場合は、YouTubeチャンネルの「【消防防災】RESCUE HOUSEレスキューハウス」をチェックしてみるのも良い。(御存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、タイチョーさん語気は少々強めだけど、めちゃくちゃ話分かりやすいです)
あと個人的に高齢者を「おじいちゃん」「おばあちゃん」と表記しているのが良いポイントだと思った。言葉の問題だけど、「高齢者」ではどうしても他人事と捉えてしまうから…
まさにレスキュー隊ならではなのが、倒れている人の運び方。何と3種類もあるという。
YouTubeも確認してみたが、②の前屈搬送なんかは女性が男性を運ぶ場合でも適用できる。女性や子供を長距離搬送できる方法もあるので臆することはなさそうだ。
消火器の使い方もそう。職場や学校の防災訓練で体験はしたものの、正しい消し方(燃えている物を狙ったあとで、左右ホウキで掃くようにして消火)まではインプットできていなかったかも。
約10−15秒で薬剤が切れるというのも(恐らく)初耳だったから、手にした際には相当冷静に構えなければいけないってことになる…。
台風や南海トラフと、防災意識が日ごとに上昇している昨今。
なのに自分は、「避難場所」と「避難所」の違いも分かっていなかった!!避難場所は災害時に真っ先に向かう場所(学校のグラウンドetc.)、避難所は避難後、被災の危険がなくなるまで滞在する場所のことを指す。闇雲に避難所へ押しかけるのではなく、自宅避難が可能かどうかを見極めるのが大切だそうだ。(その見極め方も記載されている)
しかしここでインプット、あるいは学び直しても、事が起これば真っ白になる自信がある。本書をひっくり返す自信も。(そんなところで自信を持つな) 今までのタイチョーさんのアドバイスから考えるに、本当の防災訓練とは、緊迫感を伴うものと伺える。
本書でも繰り返されていたが、低姿勢で壁伝いに家の中を移動してみたり、倒れている人の運び方を家族で実践してみたりと、日々の練習も防災活動には欠かせない。防災グッズの完備だけが全てではないのである。
台風10号の接近に伴い、自分も常識へ近づこうとしている。