作品一覧

  • ぼくの心は炎に焼かれる 植民地のふたりの少年

    ぼくの心は炎に焼かれる 植民地のふたりの少年

    小説・文芸

    4.3
    1巻1,870円 (税込)
    1951年のケニア。11歳の白人少年マシューが寄宿学校から自宅の農場へ戻ってくると、家のまわりの柵が以前の2倍の高さになっていた。このところ、白人に〈マウマウ〉と呼ばれる、白人移住者から土地を奪還しようとするキクユ族の武装集団が活動を激化させ、白人の経営する農場に侵入して破壊行為をしたり、農場で働くキクユ族に宣誓を強いて〈マウマウ〉に加入させたりしていたせいだ。 兄弟同様に育った黒人ムゴは、台所で下働きをしている。ムゴは、マシューに頼みこまれて嘘をついて、結果自分が叱られるという目に合うことも。そんなふたりが住む地域にも、マウマウが訪れ、ひそかに黒人たちを支配下におさめ始める…。 同じころ、寄宿学校に転入してきた父親が警察官のランスは、キクユ族は全員がマウマウで信用ならないとマシューに吹き込む。 マシューとムゴの視点で交互に物語は描かれていく。 アフリカの歴史の一場面を知るためにも、また、人はどこまで人を信じられるのか、個人的な信頼関係が社会の大きなうねりの中でいかに損なわれるか、といった普遍的な問題を考えるきっかけとしても価値のある作品。 著者は、南アフリカで育ったカーネギー賞受賞作家。
  • ノウサギのムトゥラ 南部アフリカのむかしばなし

    ノウサギのムトゥラ 南部アフリカのむかしばなし

    小説・文芸

    3.0
    1巻1,760円 (税込)
    体は小さくても賢いムトゥラは,いつも威張っているライオンや,こわいワニ,ゾウなど,自分よりずっと大きくて力が強い動物たちを,たくみな話術と機転でだまして出し抜きます.ツワナの人たちに伝わる昔話を,南アフリカで育った作者が再話.ユーモアあふれる挿絵もたくさん入った,動物たちのおはなし集.

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ユーザーレビュー

  • ぼくの心は炎に焼かれる 植民地のふたりの少年

    Posted by ブクログ

     11歳の白人少年マシューが寄宿学校から自宅の農場へ戻ってくると、家のまわりの柵が以前の2倍の高さになっていた。このところ、白人に〈マウマウ〉と呼ばれる、白人移住者から土地を奪還しようとするキクユ族の武装集団が活動を激化させ、白人の経営する農場に侵入して破壊行為をしたり、農場で働くキクユ族に宣誓を強いて〈マウマウ〉に加入させたりしていたせいだ。兄弟同様に育った黒人ムゴは、台所で下働きをしている。ムゴは、マシューに頼みこまれて嘘をつき、結果自分が叱られるという目に合うこともあった。そんなふたりが住む地域にも、マウマウが訪れ、密かに黒人たちを支配下におさめ始める。同じころ、寄宿学校に転入してきた父親が警察官のランスは、キクユ族は全員がマウマウで信用ならないとマシューに吹き込む。

     第二次大戦後、植民地支配を受けていたアフリカでも独立の気運が上がる。そのうちの一つであるケニアの独立のきっかけとなった、苦い事件がマウマウ団の乱だ。独立を目指す人々の中でも、いわゆる急進派にあたり、各地の白人農場、警察署、政府軍用地、親植民地派のケニア人を襲撃した。ケニア人を分断したことは、彼ら自身の咎ではない。しかし、白人にとっては、表向き敵味方の区別がつかない。ならば見た目=部族で一緒くたに部族で排除してしまえ、という乱暴な理論がまかり通り、従順だったムゴたち家族や、マシューの家の料理人たちも排除の対象になる。ゲリラからの隔離政策で環境劣悪な収容所に送られて死亡したキクユ族は2万人程度に上る。

     支配者側の息子として、今まで自分の我儘に対して無自覚だったマシューと、主人の息子との距離の取り方に常に気を配るムゴの視点、交互で物語は描かれる。ムゴの事を友人のように思っていたマシューだが、父親の意見を信じるランスの同調圧力に逆らえず、結果的に彼を裏切り、家族を窮地に陥れる。ランスもまた、ケニア人を信頼しない父親の影響をおおいに受けている素直な子供に過ぎない。結果、大人の思惑によって子供たちの友情が引き裂かれる。善意は悪意に勝てない、という皮肉なオープンエンドで、ムゴがこの先どんな未来を選びとるのかは曖昧にされている。幼き読者に考えてほしい、ということだろうか。

     南アフリカで育ったカーネギー賞受賞作家の作品。

    0
    2026年06月17日
  • ぼくの心は炎に焼かれる 植民地のふたりの少年

    Posted by ブクログ

    小さなほころびをそのままにすると、信用がくずれていき、溝は深まるばかり。疑いが広がるのはたやすいのだ。〈第一回10代がえらぶ海外文学大賞〉ノミネート作品(10代の方はノミネート候補作品の中から投票できます)

    0
    2025年09月02日
  • ぼくの心は炎に焼かれる 植民地のふたりの少年

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    イギリス植民地時代のケニアが舞台。

    現地のキクユ人の使用人を何人も雇っている
    家に住む白人の息子マシューと、
    その家の使用人のムゴ
    それぞれの視点から語られる小説。

    現地の人が収容所に入れられたり
    拷問されたり、
    特に罪がないのに拘束されたり死刑に
    されたりしたケニアの歴史を初めて知った。

    物語ではマシューとムゴは
    一緒に遊んだりする仲で、マシューの親も
    使用人に対して対等に接していた。

    しかし世の中の、現地人に対する疑心暗鬼や
    差別意識がじわじわと迫り、、、。

    2人の視点が並行に進むことで、
    考えていることや周りの状況、思考が
    比較でき、差別意識はこうやってできていく
    のかと怖くなった。

    疑心暗鬼だらけなのも差別や内戦、
    戦争に繋がると感じた。

    あとがきにあった、
    『ゆるす心をもとう.....過去の憎しみは忘れて.....復讐ではなく協調することで、ともに国を築こう』
    という言葉を残したケニア初の大統領は
    植民地時代、7年も監獄されていたらしい。

    0
    2026年09月03日
  • ぼくの心は炎に焼かれる 植民地のふたりの少年

    Posted by ブクログ

    1950年代のケニア、白人の少年マシューの家で、キッチンボーイをしているキクユ人のムゴ。白人のだんなさまに信用されている使用人家族ではあるが、それでも黒人と白人の差は厳しい。ケニア独立に至る前の差別社会を描く。
    第二次世界大戦が終わっても、アフリカ諸国の独立までは、不条理な社会が厳然として存在していたのだ。

    0
    2024年09月18日
  • ノウサギのムトゥラ 南部アフリカのむかしばなし

    Posted by ブクログ

    アフリカ南部の昔話集。
    わるがしこいノウサギのムトゥラが中心。王様のライオンなどの大きな動物を出し抜く知恵(悪知恵?)が楽しい。そんなムトゥラが、かなわないのがカメというのも定番。
    今まであまり紹介されてこなかった昔話かも。語ってあげるためのテキストというよりも、自分で読んで楽しむ本。昔話をたくさん知っている子に、こんなのもあるよと紹介したい。

    0
    2019年07月22日

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