作品一覧
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3.7
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
徳一の名前を知ったのは、学生時代に読んだ司馬遼太郎の『街道をゆく』だった。確か、徳一との苛烈なやり取りが最澄の命を削ったというようなことが書かれていたように思う(うろ覚えなので、ちがったら失礼)。以来、徳一は異様な僧侶として私の脳裏に記憶された。
本書はその徳一と最澄の論争を扱った書籍である。タイトルをみて、「おおっ」と思い、即購入した。一読、新書ながら、かなり骨太な書である。出てくる仏教用語はもちろん、書物の漢字がまた読書を困難なものとする。しかし、学問として熱い!
これを読むと、原始仏教や唐代の仏教、そして浄土宗ら鎌倉新仏教が出来るまでの南都六宗や天台宗などの日本仏教のおおまかな思想の -
Posted by ブクログ
書かれている内容は難しい。使われている漢字すら難しい。仏教関連の固有名詞だからしょうがないけど。でも最澄と徳一の論争の背景はもとより、資料の量からして最澄側の分量が多くなってしまうとはいえ、お互いの論の組み立て方や思想を形作った事柄が整理されてわかりやすく記述されている。(と言っても中身がどこまで理解できたかは怪しい)
最澄と徳一の論争もさることながら第五章の最後から終章に書かれた筆者の「論争」そのものに対する捉え方や歴史の使用方法に対しての考え方、さらには本書で説明されている因明(読んでいて新鮮な考え方だと感じた)などの研究エリアに対する考え方など、本書そのものをめぐるメタな視点についての -
Posted by ブクログ
日本天台宗の開祖である最澄と、東国での布教にたずさわっていた法相宗の徳一とのあいだで展開された「三一権実論争」について、ていねいな解説をおこなっている本です。
三一権実論争は、平安初期に天台法華教学にもとづく一仏乗の立場を打ち出した最澄と、三乗を墨守する奈良仏教最大勢力である法相宗との対決という見取り図で理解されてきました。しかし著者は、こうした見取り図は唯一のものではなく、さまざまなコンテクストからこの論争が生じた理由や論争そのものの展開を見ることが可能であると主張します。とりわけ本書では、論争がはじまる以前から、その下敷きになるような対立が、法相宗と三論宗とのあいだに存在していたことを指