黒江哲郎の作品一覧
「黒江哲郎」の「防衛事務次官冷や汗日記 失敗だらけの役人人生」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「黒江哲郎」の「防衛事務次官冷や汗日記 失敗だらけの役人人生」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
元防衛事務次官の黒江氏の回想録。失敗だらけの役人人生というタイトルのとおり、若手の補佐時代、課長時代、局長時代、事務次官時代と職務のレベルごとに時系列で構成され、その時点でどんな失敗に直面したかが丁寧に書かれている。一言で感想をいえば、失敗に裏付けられたビジネススキルを楽しく学べる書というところ。
他の方の書評にもあるとおり、回想録とは兎角自慢や成功体験に終始するのに対し、本件は、失敗談とそれをどう乗り越えたかについての視点が中心。人間、失敗から学ぶので、先達の失敗談というのは貴重である。
また、その中には、だから・ですから・だったらと言ったDワードをやめて、さ行のSワード(さすがとか)の方が入りが良い、一人で抱え込むと碌なことがない、エレベータートークの極意、起承転結ではなく、課題→検討→対応など、官庁職員を超えて参考になるビジネルスキルも織り込まれている。また、大臣に気を利かせたつもりで寿司弁当に醤油をかけようとして大臣本人にかけてしまうなど、はたからみると笑える失敗にも事欠かず、読んでいて飽きさせない。
それにしても、昭和や平成の働き方はモーレツだったと思い知らされる。筆者は、記憶するだけで6回脳貧血で職場で倒れたという。若い時分に中期防衛力整備計画の調整中に防衛庁内の会議で高官からの反対論の中で脳貧血倒れてしまった筆者が、その後、当時の次官などが反対論をひっくり返して筆者らの案を通してくれたというエピソードがある。筆者はそれを怪我の功名のように誇っていたようだが、当時の大蔵省のカウンターパート(実は今の加藤勝信厚生労働大臣)にそれをたしなめられるシーンがある。つまり、筆者が倒れている間も仕事は他の人がカバーして回っていたこと、一方、家庭人としての夫や父親は一人しか居らず代替が効かないこと、倒れるまで働いてはいけない、それは決して美しいことではない、ということ。
24時間働けますか?との強精剤のCMすら流れてい モーレツに働くことがスタンダードだった昭和末期、多忙職場の頂点のような大蔵省にいて、そうした視点を持って人を嗜められた識見というのは凄いと思う。
そうした立派な先輩に助けられ、頼りになる後輩にも支えられて、最後に南スーダンの情報公開事案の処理で失敗したにせよ、トップになれる人望と識見があったのだと思う。それが本書に活かされ、官界のみならず、これから仕事をする人達への読みやすいメッセージになっていると思う。
Posted by ブクログ
南スーダンPKO日報問題で引責辞任した防衛事務次官の著者が、37年の役人人生の失敗について柔らかい語り口で書いている。
事務次官まで昇り詰めたのだから物凄く優秀なんだろう、それでもこれだけ失敗するんだということで、失敗から教訓を得て学ぶこともあるだろうし、優秀でもこれだけ失敗するんだということ自体も学び。
自衛隊初の警告射撃、情報本部の発足、51大綱の見直し、朝鮮半島危機とミサイル防衛、事態対処法制、中国原潜の領海侵入、省昇格、事業仕分けと普天間問題、火器管制レーダー照射事案、平和安全法制、陸自の日報問題という著者が関わってきたイベント。
いかにうまく板挟みになるか、無理にパワー系調整術は使わず自分のスタイルでいく、仕事と違って夫や父としての自分の代わりはいないので倒れるほど仕事するな、むやみに叱らない、1人で抱え込まない、危機のイメージトレーニングをしておく、官房は頭を下げてなんぼ、ですからはダメ、プロフェッショナリズム、覚悟、思いやりといった仕事に関する教訓。