鈴木英人(1948年~)は、福岡市出身、神奈川県逗子市在住のイラストレーター。
山下達郎のレコードのジャケットや、ダイヤモンド社のFM情報誌「FM STATION」(1996年休刊)の1981~88年の表紙等を手掛け、海や車をモチーフに原色系を多用したその作品は、永井博とともに1980年代を象徴する
...続きを読むものである。(大瀧詠一の『A LONG VACATION』のジャケットは永井博の作品)
私は、1980年代半ばに学生時代を送り、山下達郎、大瀧詠一、角松敏生等のシティポップス(最近のリバイバルでは「シティポップ」と呼ばれている)や、ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、エアプレイ等のAORを好んで聞いていたが、鈴木英人や永井博の作品はそれらと常に一緒にあったと記憶しており、今般、行きつけの本屋で本作品集を目にし、あまりに懐かしく、即買いしてしまった。(本集には、山下や、角松のコンピレーションアルバム、数々のAORオムニバス盤、AORのミュージシャンであるラリー・リーの『ロンリー・フリーウェイ』のジャケット等も入っている)
1980年代とは一体何だったのか。今では、「バブル景気(経済)」などと呼ばれ、どちらかと言えばネガティブに評価されることが多いし、その只中にいた人間としても、今振り返れば、信じ難い行動パターンや光景が少なからずあったと思うが、それでも、あの時代・風潮でなければ生み出せなかったものは間違いなくあって、シティポップや日本でブレイクしたAORもそうだし、鈴木英人や永井博やわたせせいぞうの作品も、その代表的なものといえるのではないだろうか。
あの時代を生きた者にとっては、懐かしさが先に来るし、帯に書かれているように「1980年代を吹き抜けたBreezeは40年の時代(とき)を経てなお、吹き止むことがない」と思えるのだが、今の若い世代の目にはどう映るのだろう。「いいものは、やはりいい」のではないだろうか。
(2022年5月)