作品一覧

  • 星の海を駆ける 新世代スペース・オペラ傑作選

    星の海を駆ける 新世代スペース・オペラ傑作選

    小説・文芸

    3.0
    1巻1,799円 (税込)
    20万年がかりの銀河周回の完了を祝うイベントで知らされる、驚愕の真実(ベラドンナの夜)、小惑星帯に隠れ住む巨大知的マシンのきょうだいはある日、謎のドローンに捕らわれ……(金属は暗闇の血のごとく)。19世紀末に原型となる作品群が現れてから130年あまり、ダイナミックな変化と進化をつづけるスペース・オペラをテーマに、アン・レッキー、アレステア・レナルズ、アーカディ・マーティーン、T・キングフィッシャーなど、近年のヒューゴー賞やネビュラ賞の受賞作家ら錚々たる面々が集結した、ローカス賞最終候補の傑作アンソロジー!/【目次】序文 「ニュー・スペース・オペラ」からここへ…… ジョナサン・ストラーン(編集部訳)/トバイアス・S・バッケル「禅と宇宙船修理技術」(金子浩訳)/ユーン・ハ・リー「課外活動」(赤尾秀子訳)/アーカディ・マーティーン「あなたが王だと思っていたすべての色」(内田昌之訳)/アレステア・レナルズ「ベラドンナの夜」(中原尚哉訳)/T・キングフィッシャー「金属は暗闇の血のごとく」(原島文世訳)/チャーリー・ジェーン・アンダーズ「時空の一時的困惑」(市田泉訳)/アリエット・ド・ボダール「包囊」(大島豊訳)/セス・ディキンソン「モリガン、光へと落ちる」(山﨑美紀訳)/ラヴィ・ティドハー「背教者たち」(茂木健訳)/ベッキー・チェンバーズ「善き異端者」(細美遙子訳)/アーニャ・ジョアンナ・デニーロ「クイーンズスロートへの旅路」(小路真木子訳)/アン・レッキー「審判」(赤尾秀子訳)/サム・J・ミラー「惑星執着者」(中村融訳)/カリン・ティドベック「スキーズブラズニルの最後の旅」(市田泉訳)/謝辞 ジョナサン・ストラーン(編集部訳)/解説 渡邊利道
  • 平和という名の廃墟 上

    平和という名の廃墟

    小説・文芸

    3.3
    1~2巻1,760円 (税込)
    銀河を支配する帝国テイクスカラアンに、採鉱ステーションのルスエルから派遣されてきた新任大使マヒート。帝国で勃発した皇位継承権をめぐる陰謀劇に巻き込まれながらも難局を乗り切った彼女は休暇を取りルスエルへ帰還していた。その前に現れたのは帝国で彼女と行動をともにしていた案内役のスリー・シーグラスで!? 前作『帝国という名の記憶』に続いてヒューゴー賞を受賞、あわせてローカス賞を受賞した傑作宇宙SF
  • 帝国という名の記憶 上

    帝国という名の記憶

    小説・文芸

    3.8
    1~2巻1,122円 (税込)
    大使として、銀河を支配する帝国を訪れたマヒート。そこは策謀が渦巻く混沌の極みにあった。ヒューゴー賞に輝いたSF宮廷陰謀劇

ユーザーレビュー

  • 帝国という名の記憶 上

    Posted by ブクログ

     広大な銀河帝国を舞台としたSFでありながら、その内容は貴族の陰謀や政治的な駆け引きを主題とした宮廷劇である。また文化や言語、自己の境界などのテーマに関しては哲学的な領域にまで踏み込み非常に読み応えがあった。

     まずこのタイトルの素晴らしさよ。なぜSFのタイトルはどれもこう美しいのか。読み進むにつれそのタイトルがもつ物語上の意味が明らかになり、読後に本を閉じたその瞬間、表紙に書かれた表題を見て改めて感嘆の息が漏れる。タイトルとはこうでなくてはならない。

     物語は銀河帝国〈テイクスカラアン〉の壮麗な首都に、辺境で併合の危機に晒された〈ルスエル・ステーション〉からやってきた外交官である主人公マヒートが降り立つ所から始まる。
     本書の魅力のうち大きな部分を占めるのが、このテイクスカラアンを中心とした世界観の色鮮やかな描写であろう。洗練された貴族文化をもち、政治にまで詩作能力が要求される詩人の帝国。それでいて生贄の伝統があり、あらゆる方向に侵略の手をのばす野蛮性をも持ち合わせた危険な帝国。
     モデルとなったのはビザンツとアステカらしいが、作者自身がビザンツ帝国の博士号を持っているとのことでその描き方の説得力にも納得した。

     固有名詞が多く、初めはとっかかりにくいというのは事実である。しかし、読み進めているうちに、いつの間にかそれらの用語にも慣れている自分を発見するはずだ。それはまさしく異文化に放り込まれてから徐々に親しんでいく過程の追体験に他ならず、これらの独特な用語が小説に旨味を与えていることは間違いない。

     帝国に住む人々の描写も良い。彼らの価値観や美学が、その言動や所作などから伺えるという構造が上手いのだ。中でも主人公の文化案内役であるスリー・シーグラスがあまりにも魅力的だった。好きになってしまう。
     賢くて好奇心旺盛、負けん気が強くユーモアのある皮肉屋。エイリアンにも興味を示すなど進歩的な知性と旺盛な好奇心を持つ彼女だが、そんな彼女すらマヒートのことを平然と「野蛮人」呼ばわりするなど、決して自身の文化的価値観を超越した存在としては描いていない点が好印象だった。
     マヒートとスリー・シーグラスはその文化背景の違いからずれが生じるのだが、それを無理に理解しようとするのではなく、違うものとして丁寧にコミュニケーションを図る。その姿には心を動かされるものがあった。


     表紙を開くと扉には以下の一文がある。

    「本書をみずからの文化を滅ぼす文化に心奪われたことのあるすべての人に捧げる」

     マヒートにとって帝国は最後まで帝国であった。それは常に強大な脅威でありながら、同時に荘厳で美しい憧れの文明である。
     読者にとってもそれは同じだ。自分など、読み終わる頃には何かに圧倒されよくわからない涙が出ていた。

     他国の文化を愛することとその国の政治を是とすることはイコールではない。本書を読書時、ウクライナに対しロシアが侵攻を始めたが、ロシアの文化を愛していた自分にとっては、何か深い部分を揺り動かしてくれた一冊となった。

    0
    2022年02月28日
  • 帝国という名の記憶 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    上巻の、宮廷のパーティで自分にはテイクスカラアンの詩をあんなふうに作ることはできない、と感じてつらかったシーンとか、イスカンダーのイマゴの二つ目を入れた時に、子供の頃読んだテイクスカラアンの小説に複雑な気持ちで胸打たれたことが共通点になってることとか、帝国への、大使たちのややこしい憧れと疎外感と、彼ら自身が帝国に誘惑もできてる存在なところが一番魅力的でドキドキした。
    ステーショナーたちの文化やメンタルも読んでる側にしたらぜんぜん当たり前ではないのも良かった。帝国のこともステーションのことも知らない読者視点で、マヒートと同じ野蛮人の気持ちも、マヒートのことがエイリアンに見える帝国側の気持ちもちらちら見えて、ほんとに楽しく読めた。
    続編が何卒邦訳されますように、いまからとても待ってる。

    0
    2021年09月22日
  • 帝国という名の記憶 下

    Posted by ブクログ

    題名からして、“おび”からして、それはもう感じていました。

    サイエンス・フィクション(SF)では、論理的でありながら感覚的に読むことが求められる。
    これはもうはなっから「情緒的」に読みこなすことが求められる。
    これはもはや「観念的」に読んでいかないと、いちいち止まってしまいそうになる。

    そんなペースで進めていくうちに、例えば、秦の始皇帝の後継問題や、清朝乾隆帝期におけるヨーロッパを含めた周辺国の朝貢関係のような背景を、理解し始める。
    そうなると、主人公たちのハラハラドキドキな冒険活劇が面白くなるって、下巻はあっという間に終了。

    記憶と記録

    記録とは単にあったことでそれ以上でも以下でもないが、何を残しておくかによって作為が生じる。
    記憶とは過去にあったことと誤解をさせる脳の娯楽で、自己憐憫とともに自己肯定への欲望に用いる。

    他人の記録をスキルの継承の目的で脳に植え込むことと、不老不死にこだわり狂う始皇帝の欲望を併せた物語……

    0
    2023年08月16日
  • 平和という名の廃墟 上

    Posted by ブクログ

    (未読)前作が面白かったので即買い!と思ったら、¥1,760。ページ数がそんなに増えてるわけでもないのに、¥1,122だった前作から57%も高く、ハードカバーの「プロジェクト・ヘイルメアリー」とほぼ同じとは、何でこんなに高い値段設定になったんだ?

    0
    2023年03月11日
  • 帝国という名の記憶 下

    Posted by ブクログ

    後編は、銀河帝国ものならではの宮廷劇が大々的に繰り広げられ、小国が仕組んだ一発大逆転の仕掛けが最後に炸裂する。奇想天外なテクノロジー、巧妙なプロット、複雑極まる異文化の創造等、作者の頭の中は一体どうなってるのだろうと驚くしかない。

    0
    2022年03月22日

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