警視庁の捜査員を主人公とする事件モノの小説ということになる。
中心視点人物となるのは辻岡刑事だ。警視庁の捜査一課の刑事で、各署に設けられる事件の捜査本部へ派遣されて、所轄の刑事と組んで行動、または同じ係の捜査員と共に行動ということになる。
物語は、吉祥寺の街で聴き込み捜査を進める辻岡刑事達の動きとい
...続きを読むう辺りから始まる。若い女性の絞殺死体が発見されたのだったが、その死体の身元が不明という状況だった。辻岡刑事を含む捜査員達は、その身元に繋がる情報を得ようと必死だったのだ。
やがて死んだ女性は岐阜県出身で都下の大学に学ぶ学生であるということが判明した。そして、死んだ大学生が中学生であった頃、地元で同じ学年の生徒が殺害されたと見受けられる状況で死亡した事件、更に別な生徒が自殺とされた形で死亡という事件が相次いでいたということが判った。
そういうことで「事の真相」が解き明かされるまでの顛末が本作である。
多数の捜査員を動員する懸命な聴き込み捜査のようなことを重ね、「如何しても判らない?」が些細な切っ掛けで「或いは?」ということになり、そこから「一段階踏み出す」というような具合に捜査が動く。読んでいて、捜査現場の末端で様子を視ているかのようにも感じられた。
或いは凄く「らしい」という感じの、警察の現場を主要な舞台とすう事件モノだと思う。或いは、本作の辻岡刑事が再登場するような新しい作品は出て来るであろうか?なかなかに気に入った作品ということになった。