宇宙から来たクリー人に遺伝的に改造された人類の子孫、インヒューマンズをメインで描いた作品のうち第2シリーズを邦訳。アイズナー賞を受賞し、ここからインヒューマンズは単独シリーズが続くようになったとのことだが、その評判にたがわぬ面白さであった。
声を発することができない王、ブラックボルト。もちろん意思疎
...続きを読む通は出来るが、その特性を象徴として、王としての責務から話すことのできないことを重ねて、彼の孤独を描く方向に持っていくのは非常に興味ぶかい手法だった。
ブラックボルト主体なのだけれど、それを描くうえで使うモノローグはたまにしか使わず、主体は周りの反応で描かれてゆく。それはすなわち、読者もブラックボルトの本心を図りかねるのだ。ロイヤルファミリーのいらだちに共感しながら、時折ブラックボルトの悲哀を感じさせられる…なんと印象深い作品であろうか。
ブラックボルトが素直に格好良く描かれている邦訳がそもそも貴重であるので、マーベルファンはぜひ手に取ってほしい。