美琴の心情や周りの風景、一人称視点から見た周りの人たちの様子の描写がひとつひとつ丁寧で、読みながら情景が浮かんでくるような文章だった。
そんなふうに丁寧に丁寧にナオとの関係や佐々木先輩との時間がしっかり描かれてたからこそ……終盤の展開は、かなり心にきた。
あらすじだけ抜き出せばSFにありがちな設定
...続きを読むではあるんだけど、仕組みに気付き始める頃にはすっかり主人公に共感しきってしまっているので同じ目線で驚きを得られる、というか。
この「語り手目線に同化しすぎて種明かしターンまで仕組みに気付かない」読書経験は、ジャンルは違うけど貫井徳郎『慟哭』あたりと似た構造かもしれない。
だいぶ時間をかけて執筆されたとのことなので小説を書くのはこれっきりかもしれないけど……まおきゅんが紡ぐ物語をもっと読みたい。小説でも漫画でもどんなジャンルでもいいから、また作品を発表してくれるといいなぁ。