野球にまったく興味・関心がないので金村義明という人のことを知らずに、書題が目に留まって読んでみた。この本が出た頃、日韓共催のワールドカップがあったり冬ソナが社会現象になったりして、いまとは雲泥の差であると同時に過去にもないくらい日韓の距離が近づいた時期だったよね。だからこういう本ができたのかな。もち
...続きを読むろん当時、金村さんが野球解説者などとして活躍していたこともあるんでしょうけどね。いまじゃ、こういう本できないような気がする。日本が狭量になり過ぎて。
キム・ウィミョンの半生記は愉快痛快。野球も勉強も普通にやってたらよくできて……みたいな順風満帆さ。一方で、在日として生きる不条理や怒りもところどころある。でもそこが恨みつらみにならずカラッと書いてある。野球人生にしろやんちゃ騒ぎにしろ、自分で勢いつけて恨みつらみ言わずに豪快に生きていく人なんだろうな。そのパワーで人生がちゃんと切り開かれていくようだったり、窮地でも物事が最終的にはうまい方向にいってる感じで、こういう勢いで生きていくってのも大切だよね。
あっぱれなのは、お母さんのすごさ。ままにならない生活のなか、よくもまぁここまで真摯かつ豪儀に生きられるなあ。朝鮮半島の人たちの定石ともいえるけど、ここにもいらっしゃったか、って感じ。