私の会社での仕事というと、所謂数字のとりまとめみたいな仕事。
財務会計のデータを勘定系システムから引っ張ってきて、諸々手補正(インセンティブデータやフロント部署の収益分け)などをして再まとめをする、みたいな感じ。
別に難しくもなくバリューもつけづらいので、早く(期限内にレポートする)・間違いなく、というコンセプトで作業プロセス見直しとマクロ化を進めています。
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仕事が単調なので、まあ少しずつ内容を深化したいってのは考えています。
個人的には拠点を大きくしたい、とか、他のアジア太平洋の拠点に伍して稼ぎたいとか。
いや、違うかな。最近気になるのが、何だか人員が増えた(しかも営業ではなく)みたいだけど、収益性下がっているんじゃないの?という疑問。
そして固まる。なぜか。
あれ?うちの会社、収益性管理できてないんじゃないの?
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いや、私が見ているので間違いありません。
粗利と経費しか出していません。ミドルの費用を一部フロントに配賦したりはしていますが、これを顧客別に配賦して収益性を見れるわけではありません。
こんな状況で大きくしたいとか良くしたいとか思ってもなにもできない、と考え手を伸ばした本書、『地域金融機関の経営・収益管理』。
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一言感想を言うと、まあ参考にはなりました。
とりわけ本部経費やシステム経費の振り分け方とかABC(Activity-Based-Costing)の銀行での紆余曲折など、管理会計のセオリー的な話が銀行業界でどのように生かしているのかが分かり、そこは良かったと思います。
このABCというのは概念だけは知っていましたが、金融機関でどのように使用しているのか良く分かりませんでした。
システム開発では何だか昔からやっているような話ですが、工数管理と似ているんですね。
私が20年以上前に新卒でSEになったとき、一日仕事が終わったら出退勤の情報とともに一日何に使ったのかをデータベースに入力していました。システム開発3H、システム設計2H、テスト2H、とか。
時間数は個々人の大まかな数字であっても、このような情報を集計すればどのようなフェーズにどれくらいの時間がかかるのか、さらには人材開発的にどこが弱いか、人繰りとしてどこに資源を配賦するか、など勤怠情報以上に戦略的な使い方が出来そうだ、とか今更ながらに気づきました。
もちろん、仕事の分け方(業務のラベリング)が肝で、ここが細かくなりすぎて失敗したのがABCだとすると、その業務の分類には慎重を期さねばならないわけですが。
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もう一つ、身につまされるような話。
コンサルやシステム会社に踊らされて、管理会計のシステムを入れてみたけど、結局使い勝手が悪く、廃棄、というのがよくあるようです。
そして『会社が結局管理会計で何を求めるのかをはっきりさせるべき』的なことが本書のどこかに書いてありました。
これは納得。
私も取れんばかりのデータでDBを構築してみようとか、調達コストを通貨ごとテナーごとに計算するマクロを作ってみようとか、色々考えたのですが、もう少し熟慮して周囲と相談してみようと思います。でないと、まあ楽しく作成してみたけど時間の無駄だったみたいなことになりかねません。
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ということで金融機関の管理会計の本でした。
システム構築の前に考える。何がしたいのか考える。仕事の話というよりも人生でも同じ?みたいな話ですね。耳が痛い話ではありますが。
本作、金融機関のみならず、コストコントロールや本部費用のフロント按分みたいなことで悩んでいるかたには参考になるのでは、と思いました。