これを読む前に、「BTSとARMYーわたしたちは連帯するー」(イ・ジヘン作)を読み、
BTSがただのアイドルじゃないんだということを認識して、
彼らの音楽を聴き、MVを見て、どんどんハマっていき、
底なし沼に陥ってしまったような感覚を抱きながらも、
聞いたり見たりするのがやめられない、最近の私。
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そしてずっと読みたいと思っていたこの本は、作者のBTSへの愛がすごかった。
アメリカに住む韓国人の音楽評論家の作者は、
BTSがアメリカで認知され、爆発的に人気を博していく過程をリアルタイムで見てきた。
その様子を「地殻変動は確かに起きている」と表現している。
この本は、作者のエッセイ、音楽関係者との対談、アルバムレビューと
三つの形態で構成されている。
私が何より興味深かったのは、やはりレビューで、
一枚一枚デビュー当時からのアルバムを聴きながら、作者の解説を読んでいると、
その作品ごとのテーマや曲ごとの特徴、位置付けがわかる。
これまでアルバムを思いつくままに聴いていたのだけど、
解説を読みながら順番に聴いていくと、作品ごとに音楽が洗練されていくこと、
7人のメンバーが一人のアーティストとして成長していること、
同時にグループとしても、確実にクオリティが磨かれていることを実感する。
他のアイドルグループとBTSの何が違うのかといえば、
彼らが自ら音楽制作に関わっていることが一つ挙げられている。
多くのアイドルは、「ファクトリー・アイドル」とアメリカでは揶揄されているという。
KPOPアイドルの容姿やレベルの高いダンスは、
「個性がなく似たような、つくられた音楽」という偏見を強くしたという。
BTSの人気は、メンバーが持つ音楽制作の能力を基盤して、
多くの人に受け入れやすいメロディと観るものを魅了するダンスやパフォーマンスが結びいた相乗効果なのだ。
また、彼らがヒップホップにルーツを持っていることも大きいようだ。
「自分たちの考えを荒っぽくストレートに」表現した姿勢が、
本物志向のアメリカ人に清々しく映ったのだと作者は分析する。
私は韓国語がわからないのでBTSがそれぞれの曲に込めた物語やメッセージが、理解できない。
でも、なぜか曲を聴いていると何かが伝わってくる。
BTSが好きだから伝わってくるのか、伝わってくるから好きになったのか、
自分でもどっちが先かわからないけど。