災害にしてもそうだが、一番情報を欲している人には届かない。
今の状況も先もわからない中で過ごす不安はいかほどのものだろう。
船会社や厚生労働省の対応も完璧だとは思わないし問題提起も必要だろう。
だがそれにしても文句がすごくて読んでいて辟易してしまう。
著者が一番苛立っていたのは薬が手に入らないこと
...続きを読むだ。
持病がある者にとって薬が切れるということはそのまま体調が悪化することを意味する。
そしてそれはメンタルに直結する。痛みがあれば尚更だ。
薬がスムーズに届いたなら、著者もここまで怒りが全面に出なかったのではないだろうか。
当時他の乗客のSNSを追いかけていたが、薬問題のない方は比較的冷静だったように思う。
日本人乗客にとって幸いだったのはやはり自国に接岸できたことだろう。
日本語でやり取りができ、宅配便を受け取れたということは大きい。
もともと船内のWi-Fiは割高で航行中はあまり利用せず、隔離中に強化され無料で利用できるようになったそうだ。だからSoftbankからスマホが貸与されたのかと合点がいった。
隔離は不完全だったと思うし情報も空間も閉ざされた中で先が見えず混乱した現場に置かれた状況では不安定になるのはわかる。
だが最初だったからこそ一番手厚い支援を受けたのではないだろうか。
日本人の役人は一辺倒の対応しかしない、船長は自分の言葉で話したというが、日本人が同じことを言っても不謹慎だと怒りしか沸かないのでは?
これが日本ではなく海外で接岸され、現地の管轄だったら更に困難だったのでは。それはそれで邦人を守るのが当然だ!とやはり政府に文句しか言わなそうだが。
薬が届かない、申請書には薬の名前だけで病名を書く欄がなく、緊急性をどう判断するのだ! と憤っていたたが、紙なのだから余白にでも病名を書いておいたら良かったのに。それがどれほど効果があるかはわからないが。
水を入れるために外洋へ出たとき、並走している海上自衛隊の船に自殺防止か? 監視しているのか? と疑問を持ったようだが、当時の報道やSNSの中に他の目的が書いてあったように思う。
隔離されている間は気持ちに余裕がないだろうから気が回らなくて当たり前だが、後日このように本にしているのだから、自分の行動を振り返ったり調べたりしなかったのだろうか。
著者は外部の記者と頻繁にやり取りしていた割には、情報を得るのが下手なのではないかと思ってしまった。