印象に残ったのは、モチベーションは自分一人の問題ではなく、周囲の人との関係によって大きく上下するという点である。
本書では、上司の「無理しなくていいよ」という言葉を「期待されていない」と受け取ったり、同僚の「やっても意味がない」という一言でやる気を失ったりする例が紹介されている。言った側に悪意がなくても、受け手にとってはモチベーションを下げる言葉になる。だからこそ、私自身も知らないうちに誰かの「モチベーション下げマン」になっていないかを振り返る必要があると感じた。
特に印象に残ったのが、「仕事の意味は伝えないと分からない」という考え方である。単に仕事を依頼するのではなく、何のために行うのか、何につながるのか、なぜあなたにお願いするのかまで伝える。意味が分からない仕事を与えておきながら、「もっと主体的に」「もっとやる気を」と求めるのは順序が逆なのだと思う。
また、モチベーションが上がるのは、成果が出たときだけではなく、褒められたとき、認められたとき、誰かとの仕事がうまく進んだときなど、小さな手応えを感じたときだという。イチロー氏の「小さな満足を味わうことで、また次へのやる気が生まれる」という言葉も印象的だった。大きな目標だけを追うのではなく、「ここまで進んだ」と確認することが次への力になる。
一方で、本書はモチベーションが下がること自体を悪いこととはしていない。挑戦すれば失敗や苦難に遭遇し、やる気が下がることもある。大切なのは、下がらないことではなく、下がった後に回復できることである。この考えから、活力の高い職場とは、全員が常に元気で前向きな職場ではなく、下がることも受け止めながら、また前を向ける職場なのではないかと感じた。
さらに、人のモチベーションを高めるには、相手が何によってやる気になるのかを知り、日頃の仕事をよく見ることが必要だという。本人も気づいていない良い仕事を見つけ、具体的に褒めることが「見てもらえている」という感覚につながる。また、すべて任せるのでも、何でも指示するのでもなく、自分で考えて取り組んでもらい、困ったときには支えられる距離にいるという考え方も印象に残った。
最後に著者は、目の前の仕事に没頭し、モチベーションそのものを意識しない状態を目指すことにも触れている。そのために必要なのがゴールの明確さだという。
この本を読んで、モチベーションは無理に上げ続けるものではないと思うようになった。仕事の意味を伝え、小さな前進を認め、挑戦を支え、下がったときには回復できる環境をつくる。そして自分自身も、誰かのモチベーションを下げる存在ではなく、良い仕事を見つけて言葉にできる存在でありたい。それが、活力の高い職場づくりにつながるのだと思う。