昭和の大恐慌があった。愛知銀行の常務だった田島道治は日銀総裁で
あった井上準之助が設立した昭和銀行頭取に任命され、最大の金融恐慌
を乗り切りった。
その手腕を買われたのだろう。先の大戦後、初代の宮内庁長官に就任する。
皇室最大の危機の時代である。
そんな時代に昭和天皇の傍にいて、GHQ及び日本政
...続きを読む府を相手として
皇室を守る為に尽力した人の日記から時代を読み解く。
昭和天皇の退位問題、最高司令官を突然解任されたマッカーサーの
皇居訪問問題、皇太子(今上天皇)の英国訪問にまつわる問題、
そして、皇太子妃選び。
日記の記述は非常に簡潔なものだが、皇太子の立太子の儀に臨んだ
日ではこれまでの苦労が込み上げたのか「ベソ」との記述があるのが
苦心を感じさせる。
頑なに皇居訪問を拒むマッカーサーに憤り、「臣・茂」とまで署名して
皇室を重んじた吉田茂とも時には対立し、庶民出身ながら昭和天皇と
皇室に尽くした人は昭和28年に退官する。
その後も美智子妃誕生に関わり、旧態依然とした皇室に嫁いだことで
心身共に疲れ切った美智子妃を支える。
混乱の時代の貴重な記録だが、タイトルがしっくりくない。副題と入れ替え
たらよかったのにな。
尚、長官退官後、ソニーの会長職についているのだが会社で用意した
車を私用では一切使わず都電とバスを乗り継いでいたそうだ。
こんな会社会長、今の時代にいるかぁ。