昆虫の中で、ゾウムシは最も種類の多いグループである。しかも、色、形、大きさともに多様性に富んでいる。
そしてその多様性は、一億年以上の年月にわたって命をつないで進化してきた結果だということを忘れてはならない。小さな虫たちの工芸品ともいうべき美しい姿に自然の不思議・すばらしさを認識していただき、本書が自然との関係を再発見するきっかけになれば、これに勝る幸せはない。<著者の言葉>
そうなんです全くびっくりした。それはレンズの働きを調整した写真で、特にごく小さいアリンコと間違うようなゾウムシの体が大判のページからはみ出すほどの大きさになって棘や髭がありありと写っている。
マイクロフォトコラージュという手法でピントの合った部分を合成したデジタル写真集なのだそうだ。だから精密でクリアで、美しく珍しく、なんでこんな形に進化したの、と訊いてみたいような面白おかしい形のものもいる。
それでも一様に鼻が長く垂れさがって、「ゾウムシだい!!」という形をしている。顔の両側に貼りつけたような丸い複眼は大きくて、おぉ仮面ライダーのでっかい目そっくりだな、体ちっちゃくてもバリバリの昆虫だ、とまじまじと見てしまう、表紙のようにでっかい力士の立ち合い、ハッケヨイのようなポーズだと、そんなにじっと見ないでよ、と言いそうになるほど、迫真の画像も並みではない。
子供のころ、米櫃にときどきコクゾウムシがいた。周りから天敵視されて、一匹見つけようものなら、スワお米が一大事とばかりに広げて天日干しにしていたが、最近はあまり見なくなった、それでもハイザーには、どんな虫のためか一応「お米の見張り番」というとトウガラシ入りの袋を張り付けている。
で、このゾウムシがこんなに嘴(吻)が長く、それも長く長く体長の何倍もになって、ついでにそこから伸びる触覚(アンテナ)も、その上足までも、竹馬に負けないくらい長いのもいて、もう笑わないでは見られない。
だから名前までいい感じで。
シギゾウムシ シギのくちばしのように口吻が長い。解説は、この口吻の先に噛む口があるのだが、進化して卵用の穴掘りに使うようになった。そこに産卵するので産卵管の長さと釣り合っているそうだ。ファーブルさんもこの様子を書いていて、無理をして突っ込むので抜けなくなって足が宙に舞っていた、とか昆虫記にあるそうだ。写真も素晴らしいがこの様々な特徴の解説には、驚いたりもう笑いが止まらなかったり、楽しすぎる本だった。
名前なら
ホウセキメカクシクチブトゾウムシ 美しいまるで玉虫のような色で宝石という名前をもらっている。目隠しは実物は多分目が小さい、口が太く丸い。
アオモンホウセキカタゾウムシ は 青い紋がある緑紋型で美しいということ、青紋は青の水玉と緑の水玉の二種が載っている。
茶色の縞柄はチャオビゾウムシ。タートルモドキゾウムシ、もいる。
クチヒゲオサゾウムシは鼻に、もしゃもしゃ、ポヤポヤした毛がはえて、下手な散髪をしたように見える、そのうち進化の途中でオヤ!と気づくかもしれない。
オトシブミの仲間がゾウムシだと知ってびっくり。子供の頃、こんな形に葉っぱを丸めて道に落とすのはどんな虫かと探したことがあった。名前は判ったがさっぱり見たことがない。小さいこれだったのか。
ムネトゲゾウムシ、トカゲモドキゾウムシ、モドキは色々いてサイモドキやらアリモドキ、トカゲモドキやら。カタチもそこはかとなく本物に似ていなくもなくて、なんとも言えずたのしい。
チョッキリというのもいる。子供の頃方言で「チョッキリ」は「丁度」という意味だったが、誰がつけた名前だろう。体にぴったりの巣を作って産卵するそうだ。
ゾウムシの仲間は世界で1300種、もっといるかもしれないそうで蝶のおよそ200種と比べても圧倒的に多い。など後の解説も読み返した。お米の中に混じったクロゴマかと思ったくらい小さなゾウムシの仲間がこんなに美しい姿や珍奇な形をしていて、またそのまま体を表す名前を持つことを知って何度もページをめくりもう笑いが止まらなかった。
拡大写真なので体のとげとげや粒粒を見るとゾワッとするかもしれないけれど、美しいのや可愛いのもいるし、虫嫌いの人もちょっと好きになるかも。