北条裕子の作品一覧

「北条裕子」の「美しい顔」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 美しい顔
    4.5
    1巻1,353円 (税込)
    未曾有の災害に襲われた町。高校生のサナエは、幼い弟を連れて避難所に身を寄せていた。混乱の中、押し寄せるマスコミの取材にねじれた高揚感を抱くサナエ。だがいつまでも目を背け続けるわけにはいかない、いつか訪れなければならない場所があった。強く、脆く、そして激しく--喪失の悲しみと絶望の底からの、帰還の旅路。

ユーザーレビュー

  • 美しい顔

    Posted by ブクログ

    芥川賞候補当時、ちょっとしたネガティブ話題に上っていたことは覚えていて、でもそのときには、実際読んでみたいとまでは思っていなかったもの。今回、ダヴィンチの豊崎・大森対談の中で取り上げられているのを読んで、俄然、内容にまで興味が沸いた。それなりにデリケートな3.11の話題に、結構大胆に切り込んでいて、読み始めはちょっとハラハラしちゃった。でも友人ママの叱咤激励から状況は急展開し、主人公自身の立ち位置を取り戻し始めてからは、強い言葉のオンパレードで、胸を打たれっぱなしだった。ピンとこない芥川賞受賞作を読むことが続いて、その全てに目を通すのは止めることにしたんだけど、『実は、候補作にこそ名作あり?』

    0
    2020年01月14日
  • 美しい顔

    Posted by ブクログ

    偶々本屋で手に取って読んでみたら、ぐいぐい引き込まれていった。
    母親との離別という堪え難い事実から目を背けて自分を守るために分厚い殻に閉じこめ、いつしか自分が分からなくなる。その殻に気付き、一人で潜って自己を見つめに行った結果、自分がこのどうしようもない現実を受け止めないといけない、自分で自分の世話をしなければならないという事実を受容できたのだと思う。自分を受容できて彼女が解放されたシーンは心にぐっときた。

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    2019年07月08日
  • 美しい顔

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あの日、3月11日に母は津波に飲まれて亡くなった。

    自らも被災し、年の離れた弟と一緒に高台に逃れて生き残った高校生のサナエ。

    避難所で絶え間なくやってくるマスコミに対して
    生き別れた母を探す健気な悲劇のヒロインを演じて、
    どうにか自分を保っていた。

    遺体安置所で、母の亡骸と対面した日。
    生前の母と交流のあった奥さんの言葉。
    母の遺体を弟に対面させたこと。

    東日本大震災で失ったもの。

    涙が止まらなかった。

    著者は震災経験者なのかと思うほどの強烈な当事者目線の話。
    この本については色々あったみたいだけど、
    私はこれを読んで泣いたよ。

    大切な人を亡くしたとき、
    絶望して絶望して、もうダ

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    2022年04月04日
  • 美しい顔

    Posted by ブクログ

    東日本大震災の津波で母が行方不明になったサナエとヒロノリ.避難所に殺到する報道陣にサナエは彼らが欲しがる健気な女のとしてのセリフを多発して有名になった.ただそれを自分で嫌悪してその後は無口な被災者になった.遺体の母と面会したサナエは弟のヒロノリにはその事実を隠した.顔見知りの奥さんは事故で息子を亡くしたが自分が怪我から回復した時には葬式も済んでいたので、衝撃を受けた由.どんな形でも息子に会いたかったので、ヒロノリにお母さんを見せなさいと諭す.奥さんの話が秀逸だ.母の姉のところに落ち着いた二人の砂浜での最後のシーンは素晴らしい.

    0
    2020年02月29日
  • 美しい顔

    Posted by ブクログ

    東日本大地震で被災した女子高生の
    生々しすぎる声に胸打たれる。
    メディアの都合のいい報道には
    以前より知られてはいるが
    そのリアルなやり取りにも注目したい。
    幼い弟が自分で行方不明の母親の似顔絵を
    描いたプレートを作って探している場面は
    悲しくて胸が痛くなる。

    0
    2019年08月05日

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