石井暁の作品一覧
「石井暁」の新着作品・人気作品や、最新のユーザーレビューをお届けします!
-
作者をフォローする
- フォローするとこの作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
ユーザーレビュー
-
2024シーズンのTBSドラマは『不適切にもほどがある』で盛り上がってるけど、ここはやっぱり『VIVANT』!
と、ドラマ好きが集まる宴会にむけて読破。(動機)
これはネタ元の一つだわ!と疑いようのない内容でお腹いっぱいになった。前半がルポ、中盤からは取材ドキュメンタリーという周回構成。どれくらい
...続きを読む真相に迫っているかは確かめようもないが、ミステリーのようにベールが解かれていく様はハラハラする。思わず二度読み。
真偽はともかく、考えるべき点が2つ用意されている。
1.別班はシビリアンコントロールから外れとるよ
2.別班は人権侵害しとるよ
ジャーナリスト視点なので批判的なスタンス。(名古屋弁ではない)折しも第二次安倍内閣による秘密保護法の採決が迫るなかで本書はリリースされたが、法案は可決。残念ながらその思いは国民(の代表)まで届かなかったことになる。
知る権利と国防とは常に緊張状態。手綱を緩めれば諜報機関の独走→集団的自衛権の容認→いつか来た道(侵略戦争の可能性)だと、さるすべりのような議論でいつも脅される。つい懐疑的になってしまうのは私が無傷だからか、自分を信じすぎなのか。
あるいは別班に選抜された隊員の人生は、ドラマの堺雅人よろしくプライベートも一切許されない幽霊となる可能性がある。万が一の時は、凄惨な死が待っている。
とはいえSPY×FAMILYはみんな好きよ。
遠い異国の人ならいいの?という迷いを、日本に生まれたからには常に抱え続けなければならない。一人称の平和安定。もしも別班がそこに貢献しているとして、感謝する手立てもない。感謝させてよ。
本書内には以下の表現もあった。
──別班のメンバーは精神が壊れるか、その世界にどっぷりハマるか(要約)
どっちも怖いけど、後者のフォージャーパターンが危ないのか。その力が盾として適切に使われるよう、政府のしくみを考えなくてはいけないんだろうけど。
明日トントンと肩を叩かれて、「キミ、明後日から仙台に転勤ね」という勢いで別班行きを命じられないことを祈る。(不適切か)
Posted by ブクログ
-
最近流行ったテレビドラマの中で言及が在った存在の「実際」ということで、2018年に登場した本書に脚光が当てられていた。関心の在る分野でもあるので、本書を入手して紐解いてみた。
ゆっくり読んでみた。「“謎”が更なる“謎”を招じる?」というような側面が在る内容だとも思ったが、興味深く拝読した。
「特定秘
...続きを読む密保護法」というモノが在る。2013年に成立して2014年から施行されている。「防衛」「外交」「スパイ活動防止」「テロリズム防止」という4分野の中の特定の項目に関連する情報を「特定秘密」に指定し、その取扱い方を定めて情報漏洩を防止するという主旨であるという。そういうようになると、「特定秘密」に「何が指定される?」ということになる。更に「政府が知られたくない情報を指定すると、国民が知るべき情報の隠蔽も在り得る?」ということにもなる。
こういう中、「自衛隊の密かな活動?」がそういう「恣意的(?)な隠蔽の対象?」となって行くのではなかろうか、また自衛隊の密かな活動そのものが、適正な自衛隊の運営という見地で大きな問題が在ると見受けられるということで、一部に話題になる場合も在った「別班」なるものに注目したというのが本書だ。
結局、通信社の記者である著者は、「別班」なるモノが存在するということを、5年以上に及ぶ取材を通じて纏め、記事を配信している。本書はその記事を纏めるに至った過程にも紙幅を割きながら「別班」なるモノに関して論じている。
秘匿性が高いと見受けられる事項を扱うようなグループを、組織機構の「編成表」の隙間のような部分に紛れ込ませて、それが活動等を継続する中、例えば「別班」というような通称で一部に知られるようになるというのは在るのかもしれない。そういうことが在り得るとしても、最上級の幹部が通暁しているのでもなく、担当大臣も全く知らない中で、形式的に隊員の身分を外して国外で諜報活動をしているらしいというのは、「酷い逸脱?」という点が本書の問題意識である。
英語で言う「インテリジェンス」の情報関係の活動、または諜報というようなことに力を注ぐというのは必要なことなのかもしれない。そしてそういう分野は秘匿性が高い。だからと言って「逸脱?」が善い筈もない。「逸脱?」という形で入った情報は、或いは取上げられず終いに終始するのではないか?
国際関係が難しくなり続ける中、自衛隊のような機関が情報を独自に収集して行くことに「ダメ!」と言う方は少ないと思うが、「やり方」は大切であろう。
本書は何年間にも亘る著者の地道な活動や、所謂“スパイ活動”に関する研究、密かな活動の経過が長く存在する事等、非常に興味深い内容が満載である。色々な事を考える材料として、御薦めしたい一冊だ。
Posted by ブクログ
-
モリカケ太郎
安倍政権下でいくつもおかしな横暴な振舞いがあった中で良くここまで危険な国家機密を調べたものと感心しきりです。
-
T B S のドラマV I V A N T を見て関心を持って読んだ。別班員になるための面接時の口頭試験問題はドラマと重なり興味深かった。自衛隊にこのような組織が秘密裏にあったとしても国際情勢からすればある意味理解できなくもない。今の自衛隊は旧陸軍とつながっているんだなと感じさせられた。加えてスパイ
...続きを読む活動をしなければならないような国際情勢を憂える。よく取材されていて、考えさせられる。お薦めです。
Posted by ブクログ
-
自衛隊に存在するとされるヒューミント組織、別班を丹念に追った共同通信の石井記者の取材記録
。
陸軍中野学校から受け継いだ日本のヒューミント組織、別班・青桐と言われるチームについての過去の文献調査やヒアリングから始まり、それが今現存するのか、どういう活動をしているかを取材によって迫っていく。
現場
...続きを読む関係者の証言から朧げな輪郭を手繰り寄せ、最後は元陸上幕僚長や元情報本部長から決定的な証言をえる。記事化の努力の中、身の危険を知らせる内部協力者からの連絡も来る。そうした中で、現役の事務次官や陸上幕僚長に仁義を切った上で記事を発表。しかし、政府の答弁は過去も今も存在しないという堅いガードにあってしまう。
個人的には国家の耳としてヒューミント能力は必要だと思う(自衛隊が持つべきかは別の議論)。しかしながら、具体的活動内容を秘匿することは当然とは言え、その存在そのものが否定されることはあってはならないと思う。他の行政機能と同様に国民の税金を持って運営される以上、存在はきちんと政治や予算によるコントロールを受けるべきであり、武力組織である自衛隊に置くのであれば、当然に文民統制の下に置かれるべきものである。また、本書にもあるように非公然組織はその構成員の精神をも蝕んでしまう。文民統制を前提として、政治の議論を経てヒューミント組織を作り、別班なる存在が本当にあるのであれば、それを解体してあらたな機構として生まれ変わらせるのが適切だろうと思う。
思想信条の面では作者と隔たりを感じるが、5年以上に渡る、孤独かつ危険な取材活動の上で、問題点を鋭く指摘する調査報道を行った作者の努力にただただ敬服するばかりである。
Posted by ブクログ
石井暁のレビューをもっと見る