作品一覧
-
-「うちは、レールものを買わへん」という祖母の台所哲学によって味感を育まれた著者。いまも“ほんまもん”を求めて「京を食う日々」を暮らす。春には掘りたての筍、夏には鮎や鱧、秋から冬には京野菜の鍋と漬物、さらに豆腐や湯葉や生麩、そして、鮒ずし、鯖ずし、「へしこ」といった発酵食品に舌つづみをうつ。かしこまった京料理におさまらない著者の食欲は、真摯で求道的でさえある。「かつて日本は貧しかったが、食材への気配りは京都だけでなく全国どこの家庭にもあった」と懐かしむ。植物染を専らとし、日本の伝統色と染織史の研究家でもある著者は「料理も染色も基本は同じ」と語る。すなわち「素材を見極める」「時間を見計らって火の強弱を気遣う」という点が同じだという。そして、染色も料理も「早く済ませたいと、どこかで手抜きをすると必ず失敗する」という。垂涎のエッセイ集である。
ユーザーレビュー
-
Posted by ブクログ
・吉岡幸雄「日本の色を知る」(角川文庫)は 染織家の書いた書である。昔風に言へば染め物屋の著作である。当然カラーである。文庫本ながらきれいな本である。見てゐるだけで楽しい。色だけでなく花や風 景の写真も、その色に関連して載る。さういふのも美しい。例へば襲の色目、これは古語辞典や国語図録等によく出てゐる。しかし、それゆゑにどれが 本当の色なのか分からないことがよくある。似てゐると言へるのならまだ良い。へたをするとほとんど別の色である。それが同じ襲として出てくる。素人はどちらを信じたら良いのか分からなくなる。いや、どちらも信じられなくなる。さういふ時、標準になる色の図鑑等があればと思ふ。ところが、