この本は文字通り大図鑑である。ざーっと見て、流れを掴むためのものである。リファレンスとして所有すべきものだ。
表現はこなれているとは言えない。各要素の長さも違和感を覚える。
「養子になった子どもは憎まれていると実感したあとでしか自分が愛されていると信じることができない。ドナルド•ウィニコット」という
...続きを読む引用がこころに残った。
物語において、孤児もしくはそれに近い境遇におかれたもののテンプレートは、そもそも研究された内容だったのだ。それにも増して驚きはそういうこころの動きを自動的に発揮するヒト自体である。
生物の発達とは命に関わることによるモノが多いが、自分にとって有用な他人を判定する回路がすべてのヒトには備わっているかのようでもある。
進化に沿って病気を理解する学問があるようだが、心理学でも発達心理学がこれに近い。一つ一つは複雑な現象に見えるが案外単純な理屈の大量の組み合わせなのだろう。
とはいえ、組み合わせが大量であるからこそ、より複雑であり、より多様な出力が生まれ、高度に進化したのだということご夢想される。