中国のNPOやNGOについて調べていて手にとった1冊。
なぜわざわざ草の根NGOといっているのか、
と疑問に思ったが、
ここにこそ中国の事情が色濃く反映されている。
中国ではNPOという呼称は一般的ではないようである。
研究者レベルでは用いられていても、NGOであったり、公益組織と呼ばれるのが一
...続きを読む般的なよう。
NPOについても、ボランティアの実態についても、
意外と知らないものだなぁ、と感じた。
草の根NGOと呼んでいるのは、
官製NGOが大量にあるからで、
市民の力で生まれたものを草の根NGOと呼び分けている。
これらが生まれてきたのは1990年代以降であり、
そこでのボランティアも1990年代以降であるという。
そして、社会主義中国のもとでは、市民の力による草の根NGOと政府の対立は厳しいものがあり、
草の根NGOは弾圧の歴史にをたどってきた。
そして、徐々に徐々に政府との距離感をうまくとりつつ成長してきたようである。
ボランティアという市民の自発性による活動も1990年代以降の動きのようだ。
ボランティアには三種類あり、
中国共産主義青年団のもとでの青年志願者としての国の活動への派遣、
社区志願者としての地域での活動、
そして自発的な活動。
社会主義国では、社会のため、国のために尽くすという発想から、
行為の自発性は重視されてこなかったが、
市民社会の高まりによって、様々な活動がみられるようになっているとのこと。
中国にNPOはあるのか、という疑問から読んだが、
世界的な変化の中で、中国社会も変わってきていることを感じられた。
“市民自らがイニシアティブを取って公共の問題に携わっていくような団体/組織を、とりわけ「草の根NGO」という用語で示そう。わざわざ「草の根」という枕詞をつけたのは、中国では政府の背景を持つ官製NGOが大量に存在し、表向きには「NGO」として登記され、「見えるNGO」の圧倒的大多数を占めているからだ。草の根レベルで純粋に民間人によって設立、運営されるNGOが社会の表舞台に登場したのは、1990年代の半ば頃だった。”