本来は空気力学の概念である「流線形」が一種の流行語として、大衆文化に取り込まれ、本来の文脈から見れば、とんでもないような「意味」を獲得していく過程を考察する。アメリカ、ドイツ、日本の例が取り上げられているが、殊に興味深いのはアメリカの例。ちなみに背表紙に書かれている惹句は、ほとんどアメリカのことであ
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アメリカで起きたことは、流体の抵抗を最小化する流線形が、すべての無駄や抵抗を排除する合理主義のアイコンに、さらには優生思想に繋がっていく過程が鳥瞰される。流線形とファスナーの関係だとか、優れたものは美しいからと、美人コンテストに優生思想家が参加していたなんて、エピソードは興味深い。
小さなモノクロだが、図版が多いのはやはり楽しい。