来人はアーサーを守る為に影武者となった。だから公式の場では本物のアーサーの代わりにアーサー王として振る舞うことになるのだけど、それがなかなか堂に入っているね
この作品って主人公の立ち位置的に影武者モノとして分類したくなるんだけど、でも普通の影武者モノとはかなり異なっているようにも思える
そもそも
...続きを読むアーサーや彼女を補佐するマーリンはあまり来人にあれしろこれしろと命令しない。来人もアーサー王物語を知っているものだから自分が何をすれば良いかに迷いがない
だからか、多くの場面に於いて来人はまるで本物のアーサー王のように振る舞っている。
それは彼が本物のアーサー王になりきろうとしているのではなく、アーサーの代弁者として行動しているつもりなのだけど、読者からすれば彼の言動は立派な王様のものなんだよね
けれど、来人が王様然としているからって本物のアーサーが王様らしからぬわけではない点は面白い
アーサーも高い志と優しさを持ち時には周囲の目を覚まさせるような輝く言葉を放つ
何よりも選定の剣に選ばれた存在であり、エクスカリバーの使い手でも有る
だから、本作って影武者モノというよりもダブル主人公モノみたいな分類のほうが相応しいように思える
この作品を読んでいると来人やアーサーの台詞にハッとなることが多いのだ。それくらい、二人の言葉には力が籠められている
そして二人とも相手の中に王としての資質を見出しているから互いに信頼し背中を預け合うことが出来る
ここまで来ると影武者とか本物とかではなく二人は戦友のようなポジションだね
ただ、来人が王としての資質を示すのは何もアーサー相手だけでなく。女性でありながら棋士として認められたのに騎士団に入れていなかったランスロットにとって、王としての資質を充分に見せつけてくる来人は仕えるに相応しい人物と見做されてしまう
来人が影武者だと知らない為かもしれないけど、ランスロットにとっては来人こそ完全無欠の王に見えてしまうのは面白い
それにしたって、第一の騎士とかそういうのを飛び越えていきなりお嫁さん宣言するとは思わなかったけど(笑)
来人への好意を隠さないランスロットの加入によって王としての一面だけでなく少女としての一面も見せるようになったアーサーのこれからが楽しみだし、キャメロット城を巡る戦いというのも気になる
何よりも他の円卓の騎士がどのようにして登場し、物語に絡んでくるのかも気になってしまう
先の物語を何処までも読みたくなるね