煩悩のある人ほど、煽情的なタイトルの本書をつい手に取ってみたくなる。私もそうだ。煩悩にまみれた人ほど読むべき書かもしれない。
仏教はもともとインド発祥だが、かの国には有名な性典『カーマ・スートラ』があると書かれると、本書が語るべき内容も少しずつ見えてくる。挿絵は手塚治虫風の漫画ではあるものの、直接的
...続きを読むなものが多いので、公衆の中で本書を読んでいると時にドキッとするかもしれない。
とはいえ、性と仏教(僧)という漠然と対立概念に思われる内容も、数多くの(その手の)説話と解説を読み進むうちに、いつしか日本における仏教の変遷も理解できるようになっている。特に江戸時代から明治時代への移り変わりのなかで、仏教の置かれた立場がまったく変わってしまう様は、なるほどと思わされた。
国家はつまるところ政治によって動くものであり、聖なる宗教も時の政治体制の中で、煩悩まみれの権力者によって振り回されるということだろう。