かつて、評者の父はこのようなことを言ったことがある。
「『競争が進めば淘汰され、ついには企業が1つしか残らなくなる』と大学時代の先生が言ってた」と。
しかし、現実はそうはならない。一般的な知識を備えていれば誰もが疑問をもつものだが、そもそもその講義を行った教授にも問題があるのは否めない。
しかし、根
...続きを読む本的に何か分からないモヤモヤしたものを覚えている。
本書は 競争 という言葉に対して、”負けないようにする”=competition と ”勝とうとする”=emulation という2つの意味を置き、経済と哲学からアプローチした一冊である。
答えを求めようとするなら読者は満足しないであろう。しかし、著者のアプローチから「こういう考えもあるのか!」と考えさせられるし、競争だけに限らず、水掛け論となる議論は非常に多い。
「○○の議論はウソ」等の煽り立てる書籍が氾濫する中、議論のそもそもの概念の捉え方が不安定では不充分であろう。
我々は議論の対象となる概念を捉えたうえでの基軸が求められている と本書を通して考えたのは評者の飛躍した考えであろうか?