巨悪と検察というプロローグで始まり、ロッキード事件前夜から検察の動きを、吉永祐介という検事と深く関わった記者の鼎談だ。
検察も、政治家も、企業人も、記者もすべて人の子、自分と深く関わった人間との心の機微、悩み、怒り、喜び、お互いに一喜一憂してきた過去が、一定の時間が過ぎ、客観的に俯瞰できる。
人間の
...続きを読む造った制度で完璧なものはできるはずはない。
だけれども、それぞれの心に宿る正義感、これとて、人それぞれに微妙に異なる。
検察が取り上げようとする事件、その中身の動向を知りたい記者、また、その時々の世の中のトレンド、価値観、何が正しいのか、何が正しかったのか、それは、誰も評価できない。
本の中で、吉永が、弱気になりかけた時、深く関わった記者からの後押し、また、記者が出すぎた時の吉永の叱責、この本を読んで言えることは、検察、マスコミ、政治社会環境をなどをただ単にステレオタイプで見てしまってはいけないということだ。
人間というものは、少なからず失敗もしながら、所謂、成長という概念で、自分の人生を正当化するものだ。
人間、吉永祐介、そして、少ししか出てこないが奥さんの人生。
デジタルだけの無味乾燥な情報環境に身を置いてはいけない。
人間とは、とにかく、どろくさく、ごちゃごちゃした環境で、色んな人間関係にもまれながら生きていかなくては仕方がないのである(笑)。
というようなことで、内容ですが、
第1章 ロッキード事件前夜
第2章 田中元首相逮捕!
第3章 米国で発覚した「総理の犯罪」
第4章 真相解明の舞台――ロッキード法廷
第5章 もう一つの航空機事件
第6章 ロッキードが変えたもの
第7章 リクルート事件で「吉永特捜」復活
第8章 経済事件の季節
第9章 東京佐川急便事件と政界のドン逮捕
第10章 暴走を非難された特捜検察
エピローグ 「第二の吉永」は現れるか
でした。