武永賢の作品一覧
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ビジネス・実用
Posted by ブクログ
最初に断っておくが,サービス貿易とは何の関係もない本である。どういう本か評するのは難しいが,随筆のようなもの。しかし,期待するような,亡命して医師となり日本国籍を取得したベトナム人のそれではない。
著者自身が述べているが,おそらく私の親が読んでも著者に対して「あなたは本当にご両親に大事に育てられたのね」というだろう。その言葉の裏には,なかなか自分ではなしえない,心の持ち方を含めた何かを供えていることへの賞賛であり,「家族」という社会におけるパターンメンテナンス機能が働いていることを感じさせる,今の日本社会から失われつつある「古き良き何か」が感じられるからだろう。
だからといって,本書は不思議と説教じみた感じが無く,外国から就中難民としてきたものとして日本社会を指弾するモノでもない。敢えていえば,唯一それが感じられたのが,皆保険制度の隙間についてだが,それとて義務と権利の関係についてきちんと指摘している。
ベトナムから政治亡命し,日本で医師となった生い立ちが随所で触れられてはいるが,触れるにとどまり,スペクタクルあふれる亡命のシーンや,医師になるに当たっての様々な困難を乗り越える様が書かれているわけではない。という意味で読者の期待を裏切るが,いい意味での裏切りだろう。
日本人の感覚と通じるのは,やはり大乗仏教の国から来たせいだろうか?サービス貿易に引きつけて書けば,やはりこういう感覚を備えたお国柄は日本社会との親和性に富んでいるといえないだろうか。とはいえ,著者はカトリックのようだが。