表紙に騙されましたね、いい意味で。
北九州市は2013年2月で市制50周年を迎えました。同じ頃、たくさんの記念本が出ました。本書の発売は2013年3月、周年景気、狙ってます。
ただ、その他の記念本とあきらかに一線を画しているんです、これが。
「表面的でない」というか、「裏事情」とか「実態」とか、
...続きを読むようするにアングラ感が漂う本でした。表紙も下世話だし。
50周年のお祝いムードに対して、「でもおまいらの招待ってさーwwwww」とせせら笑っている感じがします、思いっきり。
こういう本は、面白いけどちょっと不快になるというのが定番です。でも本書にはそれがない。
確かに、ちょっと小馬鹿にしたスタンスで対象の現状を憂い、未来を悲観するという、こうした本の定番を踏襲しています。
ただし、いい加減な内容ではなく、しっかりとした取材に基づき、僕たち市民が抱いている感覚がきちんと言語化されていると思います。
さらに、市民がその「感覚」を抱くようになった理由を、歴史的観点から解釈したりしてすごいなるほど感。結果として、市民でもあまり知らないような市の歴史的事実や現状を広く深く知ることができます。いやマジで。
でも、いくら丁寧な内容でも、それだけでは「快」に到ることはありません。
本書の最も好感の持てるところは「とほほ」の感覚です。
「とほほ」とは、「悲しいけど、これ戦争なのよね」にも似たあきらめと受け入れの<覚悟>のことです。
筆者は2人いるのですが、ともに北九州市にゆかりのある方です。
おそらく今でも北九州が好きなのでしょう。いいことを書いても悪いことを書いても、どっちも自分を含めた身内のこととして書いているように見えました。
特に、悪口のときに垣間見える「こんなこと言ってるけど、実は私も」という自嘲の感じに心がくらっとしました。
他人事ではなく当事者として北九州市を書ききった本です。僕は好き。
ただ、水環境館について評価が低いのと、到津の森公園が一切出てこないのはなぜだ。
だから悲しいけど★減らしたのよね。とほほ。(T^T)