魔法の国のファンタジー。魔術によって、自国の安寧を得、あるはずの天災は他国へ押し付けられていた。その大掛かりな魔術はかつての王の肉体を媒体として妻によって成立したのだった。女王がそうしたのは、夫と共に行ってきた民の救出を続けるためであると同時に心変わりをした夫への愛憎。そしてその術の根幹を生かし続け
...続きを読むるために大樹から生まれた聖人が定期的に自身の地と肉を与える。そんなことは知らない一般市民。そして聖人自身も何も知らない。そんな清浄な空間に世俗が襲ってくる。知らないというのは強く美しく優しいものでもある反面、薄情で過激で無力。2人が愛し合う関係になれたのはよかった。そして、呪縛が解けて大陸全体が等しく天候の影響を受けるようになり、他国と簡単に行き来できる国交が開かれたのはきっとよかったのだろう。