相続や贈与についてひととおりの知識がある人は読まなくてよい。別に税理士じゃないど素人でも知っている内容。(事例を知っているといえば、たしかにそうだが、ある人の改善策が別の人に有効かどうかはわからない)
親の自宅を担保にして借り入れができる「リバースモーゲージ」が初耳だが、不動産の評価額が急落したり
...続きを読む、親の長命で借り入れ利子が高くつくリスクを考えるとあまりお進めできない。そもそも中古住宅市場が整っていない日本で、銀行の思うがままに査定される不動産担保の借金は問題が指摘されている。
ただ,この本はタイトルを裏切って「お金を人に残したくない人」も読むべき。配偶者が不意に贈与税の配偶者控除などを持ち出して離婚を疑うべし、孫に教育資金を贈ってて子どもにせがまれたら、普段からの親子関係を鑑みてみるべきだろう。
貰う側、恩恵を受ける側が与える側の無知をいいことに話を進めるのは詐欺以外の何物でもない。超長寿社会で老後の資金が亡くなってしまう高齢者も多い。子や孫、配偶者に贈与するならば、その誠実さ、金銭管理能力について十分過ぎるほど見極めておくべきだろうし、贈与と引き換えに介護を引き受けるなどの、負担付き贈与としての誓約書を交わすべきである。
なお、結婚前に子どもに住居取得資金を贈与するのは以前からあるが、住居地が限定されるため配偶者を得られにくくなる怖れがある。新居取得は実は夫婦がともに住宅ローン控除を受けたらお得になる、ということも知っておいてほしい。
相続は不動産に換算したほうがお得というのは税法上はそうなのだが、実際は固定資産税もかかるし、賃貸マンションにしても相続人に借金を残すリスクもあることをあまり伝えない、相続のガイド本が多いのには辟易してしまう。