この本はとーってもおススメです!
近年、コミックエッセイが大流行でたくさん出版されてますし、発達障害を扱ったものも多いのでワンノブゼムとして流されがちかもしれませんが、この本はぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
私は、心身障害や発達障害をテーマにした漫画、コミックエッセイを何冊も読んできまし
...続きを読むたが、この本は本当に本当にいい本だと思います。
障害をテーマに扱った場合、マンガやコミックエッセイの方が伝わりやすいような気がします。臨場感というか、作者の方が感じたことや登場人物の心が手に取るように理解できる気がします。
著者(原作者?)の「くらげ」さんの彼女である「あお」さんは広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)の診断を受けた方だそうですが、大人になって出会った著者から、医師に相談することを勧められるまでは、生活上の不都合は多少感じながらも、自分が発達障害とは全く思ってなかったそうです。
例えば、
・熱がりながら5月中旬までは冬服を着続け、寒がりながら11月中旬までは夏服を着続ける。
・特定のいくつかのお店で特定のものを食事にとりがち。
・一度覚えた道を最短距離かどうかに関わらずずーっと使う傾向にある。
・買い替え時に同じタイプの服や靴を選び着用し続ける・触感に非常に敏感で、化粧だろうがリップクリームだろうが肌に塗るものはダメ。また特定の肌触りのものしか着られない。
・視覚過敏や聴覚過敏があり、強い光や大きな音、ひどい雑音に弱い。
・あいまいな表現が理解しづらい。具体的に言われれれば理解できる。
・オブラートに包んだ物言いができない。全てストレートに話してしまう。
・他人から言われたことを頑なに守ることがある。また他人の言ったことを疑えない。
・他人の顔の認識が下手。
・他人の言ったことは、一度頭の中で文字化しないとうまく理解できない。字幕などはとても分かり易い。
彼女が単に気づかなかっただけと言えるかもしれません。アドバイスをしてくれる人が周囲にいなかっただけとも言えるかもしれません。でも、あおさんが他人に言われて診断を受けるまで特に支援を受けずに生きてきていたということは、発達障害というのは、いわゆる「定型発達」と言われる発達障害の診断が出ない多くの人と少し違うだけなのであり、何ら特別なことではないということではないでしょうか。
私も、大きな音が苦手(自分の声は大きい癖に(笑))、暗算が苦手、寝具や衣類の肌触りがとても気になる、日焼け止めやリップクリームは無理、(あおさんとは逆に)毎日違うものを食べたがる・違う道を通りたがる、結構ストレートにものを言ってしまう。。。などいろいろな特徴があります。
程度は違えども、誰しもクセや変わったところはあるでしょう。その特徴が強く出てしまう時に、生きづらさにつながったり、他人から見て変わってると映ってしまうだけなのだと思います。
前からいつも言ってますが、「発達障害」というものの考え方は、ある人の特性や困りごとをよりよく理解して、他からの支援が必要なのか、どのような支援が必要なのかを見出す手段にすぎないのであって、社会から排除したり、遠ざけたりするためのレッテルでは決してありません。
また、あおさんが診断が出たことについて、脳の働きからできないことがあるだけで、努力不足ということではない、開放された、と言っているように、他人から怠けとか努力不足だと言われてきた人の気持ちを楽にしてくれるものでもあります。
もちろんできるのにやらない、努力しないという人や場合もあるかもしれませんが、少なくとも他人を良く見もせずに、頭から、努力が足りない奴だ、又はKYだなどと決めつけるのは良くないということでしょうね。
私は「みんな違って、みんないい」はあまりにも安易すぎて好きになれませんが、お互いがもっとお互いをよく見て、良いところも悪いところも得意なことも不得手なこともある、という前提で補完し合う社会を目指したいですし、そこにおいて教育はさらに何を改善し、工夫すべきかをもっと勉強せねばと思います。
ちなみに本書のところどころに出てくる、監修者である宇都宮大学の梅永雄二先生が書かれたコラムも、大事なことが簡潔に書かれていてとても参考になります。