若手社会学者による人生相談分析の本。我々に関係するところとしては「なぜ勉強するのか。なぜ大学に行くのか」という問い。かつては答えは明白で、(1)立身出世、(2)人間完成(教養主義)、の二点であったが、最近ではそのいずれもが崩れてきている(と少なくとも世間一般では認識されている)、という指摘は生徒さん
...続きを読むを教えている身としては興味深かった。また、かつての人生相談では回答者は高圧的・啓蒙的に回答を示すことが多かったが、最近の回答者は最終的には「それはあなたの決めることです」と言う傾向にあるという。これは一面では相談者を健全な判断主体として認めるという点で「人生相談の進化」と言えるが他面で、答えて欲しいことに実質的に答えていない点で「人生相談の閉塞状況」とも言える、という指摘には、なるほどあるある、と思った。人生の目標が多様化・個人化した今、僕たちは生徒さんたちの人生に対して何が言えるんでしょうか。