文章がうまい。それもそのはず、奈良女子大文学部卒の才媛でした。お遍路一人旅に挑戦する女性には必読書です。とはいえ、サブタイトル「うっかりスペイン、7年半の記録」のスペイン記録は本文に少し出てくるくらいで、内容も大して面白くもなく不要でした。さらにいえば、ズッコケてもないし・・常識人がお遍路道を歩くと
...続きを読むこんな感じになる(車谷長吉氏との違い)という見本です。
普段は運動もしていなかった中年の著者が、大震災のプチ避難で長距離を歩いた経験から一念発起、「四国お遍路を歩く!」に挑戦! 重いリュックを背負って、ひたすら歩いた7年半の涙と笑いの記録!
1日目は10キロを歩くのがやっと、それが逆に「歩く」に火がついた! 靴擦れに泣かされたり足の爪がめくれたり、股擦れに(!)に悩まされたり、痛む箇所にテーピングしたら水ぶくれになったり……。ウオーキングシューズもいろいろ試し、服装も工夫を重ね、リュックをどのようにして軽くするかに腐心し、雨のなか、強風のなか、あるいは暖かな日差しと季節の花と果物に迎えられて歩き、ついに88番・大窪寺にたどり着いた!
そればかりか、スペイン巡礼の映画に触発されて、ヨーロッパの聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かうことを決意、ついに歩いて到達した。
四国でもスペインでも、行く先々で地元の人々のもてなしが疲れを癒やし、海や山、田畑の実りに励まされ、人の心情の機微に促されて歩き通した行程を軽妙な文体と多数の写真とで旅情たっぷりに紹介する。
目次
第1章 歩いて、泊まる それがお遍路
第2章 ハイキングとは違う部分も多い――装備と準備
第3章 いちばん得意な運動、それは歩くこと
第4章 あじさいに降る雨も、ミカンの葉を照らす陽も
第5章 時空を超えて空想遍路
第6章 スペインの「イギリス人への道」への道
第7章 私が歩くということ
【付録】全行程の日程